第四十八話 決戦(その七)
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ている。
帝国軍が戻ってきた。約六千隻程の小部隊だがルッツ、ワーレン艦隊と協力して第十四、第十五、第十六艦隊を包囲しようとしている。ビュコック司令長官率いる予備部隊は帝国軍の予備部隊に攻めかかられ身動きが取れない状況だ。このままでいけば第十四、第十五、第十六艦隊は包囲殲滅されるだろう。
撤退するべきかもしれない。撤退してもう一度ゲリラ戦の展開に戻る。損害は決して小さくないだろう、半数以上、或いは七割近くを失うかもしれない。しかし戦力が有ればゲリラ戦は可能だ。同盟の再起も可能性は有る。今回は決戦を急ぎ過ぎたのかもしれない。帝国側をもっと焦らせるべきだった……。
ビュコック司令長官に連絡を取ろう、そう思った時だった。オペレータが声を上げた。
「帝国軍が停戦を求めています! それとビュコック司令長官との通信による会談も求めています!」
停戦? この状態で停戦? 時間稼ぎか? 皆が不思議そうな表情をしている。ビュコック司令長官はどうするのだろう? 停戦を受けるのだろうか……。
「司令長官は会談を受け入れるようです。全軍に攻撃を止めるように命令が出ました」
「分かった、こちらからも攻撃の停止を命じてくれ」
「了解しました。通信は広域通信で行われます、映像を映しますか?」
「そうしてくれ。それと帝国側の通信している艦を特定してくれ」
「はい」
オペレータが意気込んでいる。通信をしているのはローエングラム公の筈だ。これで彼の位置を特定できる。戦闘再開となれば今度こそ……。しかしローエングラム公もそれは分かっているはずだ、何故通信を……。広域通信による会談、この戦場にいる人間全てに聞かせようという事だろう。変な駆け引きはしないという事だ。一体ローエングラム公は何を考えているのか……。
スクリーンに二人の人物が映った。一人はビュコック司令長官、もう一人は黒髪の若い男性だ、表情には笑みが有る。ローエングラム公ではない、どういうことだ。
『同盟軍宇宙艦隊司令長官、アレクサンドル・ビュコック大将です。貴官は』
『エーリッヒ・ヴァレンシュタイン、黒姫と呼ばれる海賊です』
どよめきが起きた。この男が黒姫か、まだ若い男だと聞いてはいたが……。しかし何故彼がここに居る? ローエングラム公は……。嫌な予感が湧きあがった……。
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