第四十八話 決戦(その七)
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「特に実戦経験の有る士官は兵站統括では重宝されますよ。軍務省、統帥本部、宇宙艦隊との交渉時に交渉役として選ばれやすいんです。兵站出身の士官は実戦経験が無い事で非難されがち、侮られがちですがウルヴァシーで戦ったとなれば誰も文句は言えません。私達はヤン・ウェンリーを相手に総旗艦ブリュンヒルトを失うぐらいの激戦を戦ったんですから」
副参謀長が天井を睨んで唸ってる。副参謀長だけじゃない、クレッフェル少佐、シェーンフェルト大尉もだ。他の人達も皆考え込んでるよ。変化が無いのはメルカッツ参謀長だけだ。……参謀長はこの戦いが終わったら元帥になるんだろうな、いいなあ、元帥か……。
「軍を辞めて私の所に来るという選択肢も有りますね」
「軍を辞める? 頭領の所にですか?」
エンメルマン大佐が驚いた様な声を出した。そうだよね、エリート軍人から海賊なんてちょっと想像が出来ないよ。頭領が笑い出した。
「辺境はこれから発展しますよ。宇宙が統一されますからね、旧同盟領に近い辺境はこれまで以上に向こうと交易がしやすくなる」
「はあ」
エンメルマン大佐はどう答えて良いか分からないみたいだ。頭領がまた笑った。
「この戦争が終わったら私はイゼルローン回廊の全面開放をローエングラム公にお願いするつもりです。それが叶えば同盟領から交易船がどんどん来ます。企業も進出する、資本投下もされるでしょう、大変な騒ぎだと思いますよ」
皆顔を見合わせている。それをみて頭領が“時間は有るからゆっくり考えるんですね”って言った。どうしようかな、辺境に行こうかな、そっちの方が楽しそうに思えてきた……。
どのくらい悩んでいただろう、オペレータが声を張り上げた。
「味方が戻ってきました! シュタインメッツ艦隊です!」
戻ってきた! シュタインメッツ提督だ! 以前負けたから急いで帰って来たんだ、凄いや! 艦橋は大騒ぎだ、皆声を上げて騒いでいる。
頭領が立ち上がった、歓声が止んで皆が頭領を見た。
「ブラウヒッチ艦隊に命令! 同盟軍予備部隊を攻撃、足止せよ」
オペレータが復唱した。そして頭領の命令が続く。
「ルッツ、ワーレン、シュタインメッツ艦隊に命令、協力して同盟軍第十四、第十五、第十六艦隊を包囲せよ!」
僕の傍でライゼンシュタイン少佐が呟いた。
「反撃だ」
宇宙暦 799年 5月 8日 ハイネセン 最高評議会ビル ジョアン・レベロ
「馬鹿な、何故君がここに……」
声が震えた。有り得ない、何故ここに居る? お前は今ウルヴァシーで戦っているはずだ。同盟軍が優勢に戦いを進めていると報告も有った。それなのに……。クブルスリーを見た、彼も信じられないと言った表情をしている。スクリーンに映る男が声を上げて笑った。
『卿に降伏を
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ