第四十八話 決戦(その七)
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は本当なの?
「戦争が有りませんからね、出世は遅くなる。それに平和になったから軍は縮小するべきだと言う意見が出るはずです」
「……」
「まあローエングラム公は軍人ですから五年ぐらいは現状を維持するかもしれない、しかし必ず軍の動員は解除されるし縮小も行われるでしょう。大軍を維持するのはお金がかかるんです。財務官僚に目の敵にされますね。士官でも予備役編入される人間がかなり出るはずです」
そんなあ……。でも皆頷いている。メルカッツ参謀長もだ。困ったな、僕どうしよう……。幼年学校に入る時は戦争が終わるなんて考えもしなかった。モーデル家は没落しちゃったしこれからは僕が一家を支えなくちゃいけないんだけど……。あ、でも戦闘中にこんな事話していて良いのかな?
「将官クラスでも予備役編入は結構あると思いますよ」
「やはりそうなるでしょうか」
頭領の言葉にゾンバルト副参謀長が不安そうな表情を見せた。そうか、副参謀長は准将だもんな、不安が有るのかもしれない。
「ええ、今の軍幹部は若い人が多いんです。当分上の人材に困る事は無い、予備役は免れても出世や昇進はなかなか厳しいでしょう」
「そうですか……」
副参謀長ががっかりしている。どうみても自分は先行きが暗いと思っているみたいだ。
前線から指示を請うって通信が来た。頭領と参謀長が対応している。でも他は皆上の空だ。将来の事が気になっているんだと思う。でもそれもしょうがないよ、僕だって気になる、これからどうしよう……。溜息が出そうだ。指示を出し終えた頭領がまた問いかけてきた。
「ゾンバルト副参謀長は後方支援は得意ですか?」
「一通りは出来ますが……」
「ならばそっちに進むのも良いかもしれません」
あ、副参謀長今度は顔を顰めている。そうだよな、兵站って地味だし落ちこぼれの行くところだもん。出来れば行きたくないよ。
頭領が笑い声を上げた。
「後方支援は不満ですか? しかし兵站統括部はこれから忙しくなりますよ。同盟を占領すれば補給基地だけで八十カ所以上が新たに増えるんです。大変ですよ、管理統括するのは……。おそらく帝国側の補給基地も含めて整理統合するのでしょうが大変な作業ですよ」
「なるほど」
皆頷いてる。うーん、でもなあ……。
「それにローエングラム公は帝都をオーディンからフェザーンに移します。そうなると補給の体制もオーディン中心からフェザーン中心へ移す事になる。さらに資材、物資の調達も今後は同盟領が使えますからね、仕組みを新しく作り直すくらいの作業になります。ここで力を発揮できれば美味しいですよ、出世もするでしょうし企業との繋がりも出来る。退役後の再就職も難しくないでしょうね」
あ、今度は皆顔を見合わせてる。天下りか……。兵站統括部、もしかすると良いかもしれない。
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