姫提督から見た帝国内乱
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ュトック侯の身柄を押さえる為に兵が動いた時に、私は皇帝陛下の前に出て愛しのルードヴィッヒを奪ったクロプシュトック侯を討つ勅命を欲したのです。
この船と私の旗下の艦隊は帝都にあったので」
さらりと美談のように語っているエリザベートの話の裏にヤンが気づかない訳が無かった。
どうして、テロ直後の混乱している帝都で皇帝を探し出して勅命を得るなんて事ができるのか?
微笑を浮かべるエリザベートの背後にあるどろどろした闇を感じてヤンは体を震わせる。
「あら?
室内温度が寒かったですか?」
「お気になさらず。
ですが、あったかい紅茶をもう一杯いただけませんか?」
「かしこまりました」
(限りなく何かあるが、踏み込むのはやめよう。
かつて人形師の秘密を知ってしまって、こんな所に居る羽目になったんじゃないか)
ヤンも趣味と興味が尽きないとはいえ、同じ失敗を繰り返したくはない。
人は学習する生き物である。
「この時点では、クロプシュトック侯のみを討つ勅命しか出ていませんでした。
その後、黒幕としてリッテンハイム侯と我が父カストロプ公討伐の勅命が出た時、私の拘束命令が出たそうですが、それを庇い私の身分を保証してくれたのがリヒャルト・フォン・グリンメルスハウゼン中将なのです」
「……なるほど」
艦隊の出陣にはどんなに急いでも一ヶ月はかかる。
テロ当日に出陣ができる艦隊があった。
いや、同盟の情報部が集めたグリンメルスハウゼン中将の艦隊はそんな士気と錬度にはないはずになっている。
という事は、彼は飾りの頭であり、実務をやった連中がエリザベートの他にもいるはずなのだ。多分。
「グリンメルスハウゼン中将がこれほどの名将だったとは、同盟の情報部も大慌てですよ。
オーディン上空の艦隊戦において烏合の衆だった反乱軍に的確な攻撃によって撤退に追い込み、アルテナ星域にてフェザーンからの傭兵艦隊を撃破し、レンテンベルク要塞攻防戦において反乱軍から要塞を奪還したのですから」
ヤンの言葉におそらく現場指揮官か幕僚として参加していただろうエリザベートは楽しそうに笑った。
「そうですわね。
私が提供したこの船の指揮官席でいつも居眠りばかりしていましたわ。
ケスラー参謀長やミューゼル分艦隊司令なんかそんな姿を見てため息をついていらしたのですよ」
出てきたケスラーとミューゼルという言葉をヤンは忘れなかった。
そして、その名前の一つについてはヤンの人生に深く関わるのをヤンは知らない。
「お話できる限りでいいので、グリンメルスハウゼン中将の活躍をお聞かせください」
「勅命を得た時、艦隊を動かす正当な将官が私には必要でした。
帝国において女が艦隊を動かすのに
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