暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 弾かれ者たちの円舞曲
第伍話 《真っ黒》〜中編〜
[1/5]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
「ようこそ、この教会へ。何も無い場所ですが、ゆっくりしていってくださいね」
屈託のない笑顔で、シスターさんは言う。
「(どうしようどうしよう、マジでどうしよう。謝った方がいいのかな。いや、相手はNPC(のはず)だし、あの笑顔を見る限り怒ってなさそうだけど、笑顔の内心メチャクチャ怒ってる可能性があるし――)」
シキは内心物凄い量の汗を垂れ流しながら、脳がオーバーヒートする寸前までフル回転させ数々のことを思案しながら、ドアを蹴破った姿勢のまま固まっていた。
「おーい? シキー?」
チルノが至近距離で手をブンブン振っているが、そんなことは目に入らなかった。
シキの視線は、こちらへと向かってきているシスターへと固定されていた。
透き通った長い銀髪が真っ黒な修道服のてっぺんから流れ、瞳は赤を通り越して紅で彩られていた。
年齢は見た目や身長から判断して二十〜二十五歳ぐらいであろうか、もっともNPCに年齢などあってないものだろうが。
そして極めつけは出るとこはきちんと出て、引っ込むとこはきちんと引っ込んでいるという抜群のプロポーションだろう。
「…………はぁ。それで、貴女がこの教会の?」
「はい。私はこの教会で唯一の修道女(シスター)をしています」
シンの当然とも言える問いかけにも笑顔で答えるNPCシスターだった。
「それじゃあ、貴女が依頼を?」
シスターは「はい」と頷いて、語り出した。
「私は先日の夜、備品がきれていることに気付きまして、主街区まで買いに出かけたのです。買えたのは良かったのですが……街のどこかに、ネックレスを落としてしまいまして」
そこでシスターは笑顔に若干の苦笑を混ぜた。
「ネックレス?」
ようやく姿勢を戻して、シキが首を傾げた。
シスターは微苦笑しながら頷く。
「はい。その、聖職者としては、あまり良くはないと思うのですが……。友人からの貰い物なので、無下にもできず……」
この有り様です、とシスターは付け加えた。
そこでシスターの頭上に金色のクエスチョンマークが現れた。
「お引き受けしますよ、その依頼」
「ほ、本当ですか?」
間髪入れず答えると、赤い目をぱちくりさせてから、シスターは飛びつくようにシキの手を掴んできた。
「は、はい。それで、買い物に行った場所について詳しくお聞きしたいのですが……」
「あ、わかりました。まず――――」

      ○●◎

「――キ。シキ? 聞いてるか?」
「あ、ああ、いや、すまない。何の話だ?」
そこで回想を止め、シキは意識をNPCレストランの自身へと戻した。
シンは呆れたような声音で、おいおいと言う。
「ネックレスの場所の確認だろう。とりあえずあのシスターさんはまずロウソクなんかを買いに雑貨屋に行った」
「その後、路地の方の――――」
「お待
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ