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初戦
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る時に、あのプレイヤーが出てきていた。その横を通り過ぎようとした時、小さくだが確実に聞こえた。

「お前の方が安定しそうだが、メインディッシュは最後まで取っといてやるよ」

「ッ!!」

 その言葉に今までの違和感の正体を理解する。こいつはウィルスだ。

「おい!?」

 そう言って、肩を掴んで止める。

「えっ!ぼ、ボクになんかようですか!?」

 いきなり雰囲気が変わった。しかも、今までに気配がなくなった。

「いや、ちょっと大丈夫か確認したかっただけだ。さっき、蹲ってたし」

「ああ、大丈夫ですよ。何か、急に体がよくなったんですよ。疲れもなくなって、何か気分もよくなって今はいい感じなんです」

「……そうか」

「じゃあ、ボク、行かないといけないんで。それじゃあ」

 そう言って扉をくぐってフィールドの方に行ってしまった。

「……さっきのは幻聴か?いや、それはない。確実にさっきの奴にウィルスの感じがあった。けど、いきなり消えた。一体どうなってるんだ?」

 小声で呟く。しかし、まったくわからない。なぜ、急にウィルスは出てきて自分に何かを言ってくる。しかもさっきの会話の中にはわからないところがある。

「メインディッシュ……は俺のことだろうけど、最後までとって置く。つまり勝ち上がって来いってことなのか?それとも、SAOの俺のときみたい何かする気なのか?」

 だが、それを知るためには決勝まで行くしかない。

「お前らが何するかは知らないが、俺はそれを止めさせてもらうぜ」

 扉の外を見ながらそう呟いた。
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