第三十三話 踊る本達その二
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「そうなのですよ」
「ですか、妖怪さん達にも限度があるんですね」
「何でも限度がありますよ」
ろく子の首が伸びる長さにしてもだというのだ。
「無限というものはないです、永遠というものよ」
「じゃあ博士の知識もですか」
「はい、博士が御存知ないこともあります」
そうだというのだ、あの博士にしても。
「何でも知っているという方もおられないです」
「あの博士でもですか」
「はい、私もそうですから」
ろく子にしても知らないことはあるというのだ。
「むしろ知らないことの方が遥かに多いですよ」
「そういうものなんですね」
「はい、では」
ここまで話してあらためてだった、ろく子は二人にあらためてこう言った。
「今から本棚を時計回りに回られますか」
「はい、それじゃあ」
「今から」
二人はろく子の言葉に応える、そうしてだった。
十二時になったところで二人が今いる図書館の奥の本棚を時計回りに回った、それを何度か繰り返した。
七回程回ったがそれでもだった。
「ここも違うみたいですね」
「そうみたいです」
二人を待つろく子のところに戻って答えた。
「残念ですけれど」
「ここも」
「そうですか。では次の場所ですよね」
「次は美術館ですね、学園の」
「そこに行こうかなって思っています」
「そうされるといいです、では」
ろく子は二人の言葉を受けて今度はこう言った。
「今から面白い場所に行きませんか?」
「面白い?」
「面白いっていいますと」
「先程お話した本のことですけれど」
話をそこに戻す、そして言うことは。
「百年経った本が魂を持ちますね」
「あっ、じゃあ古文書のところですか」
「今からそこに行ってですか」
「そうです、どうですか?」
こう二人に提案するろく子だった。
「面白いですよ」
「そうですか、それじゃあ」
「よかったら」
二人もろく子の好意を受けた、そのうえで。
古文書達のある古書の倉庫に来た、すると。
部屋の中では様々な書が飛んでいた、そして。
あれこれと話して踊ってもいる。それを見て言う二人だった。
「ううん、こうしてものが動いているのを見るのは」
「何度もありましたけれど」
「それでもですね」
「凄い光景ですね」
「慣れてもですね」
ろく子は部屋の入り口から見ている二人に横から言った。
「この光景は」
「はい、どうも」
「ポルターガイストみたいで」
「ポルターガイストはこの学園にもありますよ」
「ある?」
「あるんですか」
「はい、あります」
そうだというのだ、これは二人が知らないことだった。
「美術室がそうです」
「何処の美術室ですか?」
この学園は保育園から大学院まである、高等部でも様々な学科がありそ
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