崑崙の章
第4話 「治るって……医師いらねぇじゃん、これ」
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知りすぎている。
「……北郷さん。貴方はただの旅人ではありませんね?」
「え? あ、えーと……」
北郷さんは困った顔をしている。
まさか、本当に……?
そう思ったとき、華佗さんが不思議な顔をした。
「何だ、北郷。お前、この人たちに自分が天の御遣いだと言ってないのか?」
「あ、バカ」
「「は?」」
天の……御遣い?
もしかして……あの噂の?
―― 盾二 side ――
「お、お主! お主が『あの』天の御遣いじゃと!? あの、今度梁州という新しい州を立ち上げ、そこの刺史になった劉備の夫という!?」
「夫!? 何だその噂! 俺は桃香と結婚した覚えはないぞ!?」
俺は思わず反論する。
というか、俺が桃香の夫だって!?
どういう噂でそうなった!
「あの……本当に天の御遣いなのですか?」
「あー……まあ、一応そう呼ばれていますが。ちなみにどんな噂になっているのです?」
「ええと……黄巾討伐で幽州義勇軍を率いた劉備軍の夫で、陰の立役者。被害をまったく出さずに黄巾を平定し、向かうところ敵なし。たった一人で二万人を殺し、砦を崩壊させ、宛を救った大英雄。しかし、その功績は全て劉備のものとして、自分は姿を消したと……」
………………
な、なんか全般的に誇張が過ぎるんだが、微妙にそうとも見られるような事実と混ざっていて、すっげぇ気まずい。
「わしは、間違った教えの黄巾を調伏した後、妻である劉備に全てを託して天に帰った、炎と風を操る龍神じゃと聞いたぞ」
「どういう噂だ、そりゃ……」
尾ひれ付きまくりじゃねぇか!
「お前、あの劉備って子と結婚したのか? 知らなかったな」
「してねぇ! というかややこしくなるから、ちと黙っていてくれ!」
俺は余計な事を言う華佗に怒鳴りつつ、頭を抱える。
誰だ、こんな噂流したのは……
「はあ……本当の事を言います。俺は確かに義勇軍で劉備の軍師をしていました。ですが、俺一人で二万も倒すような荒唐無稽なことはしていません。宛を救ったのは董卓軍の張遼と、袁術軍客将の孫策です。義勇軍はその配下だっただけです」
「では、本当に天の御遣いなのだな?」
「……まあ、はい。そういうことです」
最初に義勇軍で俺の名前で兵募ったしなぁ……
もう一生ついて回るんだろうな、これ。
しかし……俺、梁州に帰って大丈夫かな?
官軍に攻められないといいけど……
「で、では、状況を細かに知っているのは……?」
「旅に出る前に、南の状況については一通り頭に入れましたから。あとは話を聞いた上での推察ですが」
「たったあれだけのことで、そこまで理解したと……?」
厳顔さんと黄忠さんが、信じ
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