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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
崑崙の章
第4話 「治るって……医師いらねぇじゃん、これ」
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、一人で江賊を追ったのだが、桟橋付近で待機していた江賊に邪魔され奪還できなかったこと。
 その江賊を蹴散らしているときに、桟橋が壊れ、岸辺に上がる際に背中を斬りつけられたこと。
 その岸辺で生き残った江賊と揉み合いながら戦闘し、傷を負いながらも何とか全滅させたこと。
 だが、その頃には江賊の舟が既に消えてしまっていたこと。

「……というわけでな。黄忠に手助けを求めようとこの宿に来て……あとはごらんの通りの有様じゃった」

 桔梗が話し終えると、部屋はシン……と静かになる。
 どうやらずいぶん大変な状況のようです。
 そう思ったのですが。

「んー……まあ、大体わかりましたけど。ならまだ大丈夫でしょうね」

 北郷さんの一言に、桔梗が激昂する。

「なんじゃと!? 太守が攫われたのだぞ! 落ち着いておる場合か!」
「い、いえ……落ち着くべきでしょう? 攫ったということは、相手は何かの交渉をするためでしょうから、命に別状はないでしょうし。最悪、殺されるとしても取引に応じるとこちらが応答してからでしょうし」
「貴様!」
「桔梗! ちょっと落ち着いて!」

 今にも飛び掛らんとする桔梗を、わたくしが抑える。
 だが……桔梗を抑えながらも、北郷さんに振り向いた。

「確かにそうかもしれませんけど……ならば急いで城へ伝えたほうがいいのではないですか?」
「まあ、そうでしょうけどね。ただ、ここの太守が攫われたのです。部下の方でしたら太守の上……刺史か州牧あたりにまずお伺いを立てるのでは?」

 北郷さんの言葉に、あっと声を漏らす。
 そうでした……ここは劉表様の領地。
 ここの太守は、一時的に劉表様から任されているに過ぎないのです。

 と、いうことは……

「確かここ荊州の刺史、いや州牧は劉表様でしたよね? でもその後本人は、まだ黄巾討伐から戻っていないはず……ならば戻られるまで待ってもらいたい、そう部下ならば江賊に言うでしょうね」
「……そうですわね」
「劉表殿が黄巾の本拠地討伐の諸侯連合軍で出ておられるのでしたら……恐らくはまだ洛陽か、こちらに向かっている最中。当然、太守を攫うぐらいの江賊なら、今劉表様が領地にいないことも把握しての犯行でしょう。ならば身代金なり、要求があるとしても、それを決める劉表様が戻られるまでは、太守の命は保障する……と思いますけど」

 ……どうして、どうして今の状況をそこまで事細かく知っているのかしら?
 しかも、つい先日公布されたばかりの州牧の事まで。
 まさか……

「お主……まさか江賊の手の者か!?」
「桔梗、待って」

 桔梗の目に剣呑な光が宿る。
 思わず桔梗を押しとどめたけど……そのわたくしでも不審に感じる。
 あまりに……あまりに状況を
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