第8話 どんな些細な事でも懲り過ぎると案外大変
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けの激闘を繰り広げたと言うのになのはは元気そのものであった。その余りある元気の源は何なのか? それを心底問い正したくなるフェイトとアルフなのであった。
***
築地市場で買い物を終え、帰って来た頃には既に空には日が昇り真っ青な朝となっていた。されど、フェイトとアルフの両名の疲労はピークに達しており、一歩も動けない状況に陥っていた。
慣れない買い物を行ったせいかその気疲れもあり最早動く気にすらなれない。
「お、お腹……空いたね」
「また、レトルト……温めないと」
本来ならそうするべきなのだが生憎今の二人は一歩も動く気になれない。だが、腹は正直であり、ひっきりなしに鳴り響く。されど、足腰は一歩も動く気にはなれず、このままどうする事も出来ず飢え死にするしかないのだろうか?
そう思っていた正にその時、台所で何かを作っていたなのはが御盆を持ってやってきた。
御盆に乗っていたのは三つの丼であり、其処には市場で買ってきた多種多様な刺身が綺麗に盛り付けられていた。
「なのは、これって……」
「海鮮丼だよ。やっぱり新鮮な魚は生で食べないとね」
「そ、そう言う物なの?」
フェイトは今一理解出来ないで居た。刺身は愚か生魚など食べた事がないからだ。
されど、折角なのはが用意してくれたのを無碍には出来ない。意を決して一口口に入れてみる。
最初に広がったのは新鮮な海の幸の味であった。その後に響いてきたのは醤油の味と山葵の辛さが響いてくる。
されど、それら全てが絶妙な旨味の音色を奏でてくれている。口いっぱいに広がる旨味をどう表現したら言いか分からず、暫しの間その旨味を口の中で噛み締めていた。
隣を見るとアルフも同様であり、初めて感じる旨味に表現方法が分からずそれを楽しむ事しか出来なかった。
やがて、それを飲み込むと、今まで覇気の無かった顔からバラ色の様な赤身が戻りだし、目が輝きだす。
「ほ、ほいしぃ! これ、凄く美味しいよぉ」
「うん、美味い! こんな美味いの此処に来て初めて食べたかも?」
それを聞いてなのはは一安心していた。折角出来た友人に美味い朝食を披露出来たのは何よりの喜びだ。
「気に入ってくれて良かった。まだまだお魚も沢山あるよ。それに鮟鱇の部位も今煮込んでるから今夜は鮟鱇鍋で決まりだね」
なのははとても楽しそうに語っている。されど、フェイトもアルフも目の前に用意されたそれに夢中で全く耳に入らない。
今まで只腹に押し込める為だけに食べていたレトルトや冷凍食品などとは比べ物にならない旨味が其処にはあった。何より、これを食べるととても元気が沸いてくる気がするのだ。
もう、これを毎日食べられるんだったらジュエルシードの収拾なんて朝飯前で
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