暁 〜小説投稿サイト〜
駄目親父としっかり娘の珍道中
第8話 どんな些細な事でも懲り過ぎると案外大変
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 フェイトの静止を無視してなのはが鮟鱇の吊るされている台の上に上る。叫んでいたおじさんも驚きを隠せなかった。何せいきなり小さな女の子が出てきたのだから。

「おっとぉ、どうしたんだいお嬢ちゃん? 迷子になったのかい?」
「ううん、迷子じゃないよ。私がそれに挑戦したいから来たの」
「はははっ、馬鹿言っちゃいけないよお嬢ちゃん。素人にどうにか出来る代物じゃないよこれは」

 悪い冗談だとばかりに笑い飛ばすおじさんに対し、なのはは不機嫌になったのか頬を膨らませる。その仕草も子供だと余計に可愛く見えてしまう。

「素人だけど出来るよぉ! やった事あるもん」
「あぁそうかい。それじゃ試しにやってみな。おじさんが見ててやっからさぁ」

 そう言っておじさんは適当に包丁を見繕ってなのはの側に置いてくれた。なのははそれを手に取るった刹那。場の空気の流れが一瞬変わった。
 その空気の流れを感じ取った何人かが壇上の上を見た。其処には若干9歳の女の子がまるでプロ顔負けの手際さで鮟鱇を捌いていくのだ。
 因みに鮟鱇とは深海魚の一種であり、この魚には背骨の類がない。その為にまな板で切る事が出来ず、こうして吊るし切りの要領で切るしかないのだ。
 しかもこれ、かなり難易度が高く、熟練した職人でなければ到底出来ない芸当とも言えた。
 その芸当を若干9歳の女の子がいとも容易くこなしてしまったのだ。
 開始してから大体10分位経った辺りだろうか。鮟鱇の吊るされていた箇所にはもう唇しか残っておらず、後は綺麗に部位ごとに切り分けられてしまったいた。
 そして、なのはが最後に手に持っていたのは内臓の一部と思わしき部位であった。

「流石に季節はずれなだけあって小さい肝だね。そもそも鮟鱇も小さかったみたいだし」
「いやぁ、驚いた。まさかこんな小さなお嬢ちゃんがこんな芸当をやってのけちゃうなんて驚きだよ」
「えっへん! だから言ったでしょ。私出来るって」

 内臓の一部を手に持ち誇らしげに胸を張るなのは。それを見ていた周りからも何故か拍手喝采が巻き起こる始末であった。
 そして、またしてもその場の空気に乗りそびれたアルフが居たりしたのであった。

「さて、最初も言った通り自分で捌いたのを譲ってあげるよ。どうせこの鮟鱇も偶々獲れちまった代物だし何処も買い手がなくて困ってた所だしな」
「有難う。それじゃ貰って行くね」

 嬉しそうになのはは自分の捌いた鮟鱇の部位を貰ったパックに入るだけ入れてその場を後にする。
 鮟鱇の美味しい部位を手に入れたがまだまだ足りないご様子だ。次に向ったのは鮮魚コーナーであった。其処では新鮮な魚をその場で捌き、好きな部位を買って貰うと言うコーナーでもある。
 当然そのコーナーにもなのはは足を運び……

「すいませぇ
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