蒼風の谷
解放
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「……無抵抗の女性を斬る趣味も犯す趣味もない。消えろ。」
「はい。では。」
シルバ・ミラーは窓に向かって歩いていき、こちらを一瞥して窓をすり抜けていった。
どういう原理かわからないがあいつの魔法の一つなんだろう。仮に落下死しても俺は知らない。
「……どうしてですか、カズヤ様!彼女──!」
「彼女は敵だ。それ以上でもそれ以下でもない。」
「ねえカズヤ。」
いままで黙っていたセリナが口を開いた。
それに応えて振り向くと言葉ではなく手が飛んできた。
パンッという乾いた音が部屋中に響き首があらぬ方向を向く。
「なんで……。」
「え?」
「なんで話も聞いてあげないの!?確かにあの子は私たちを殺そうとした!でも、あの子泣いてた。目が赤かった!」
「そうです。なぜ、シルバさんのことを知ってあげないのです!彼女は苦しんでいるんです。強いられた罪に、自分の運命に。」
「だが……。」
「カズヤ様のバカ!」
セリナに打たれた反対側の頬をエリザの右手が炸裂し、オレは床にはり倒された。床から見上げると彼女たちの肩が震え、唇が何か言いたげに震えていた。
だが、事実を曲げることはできない。オレは認めない。犯罪者は犯罪者だ。
その後、オレたちは大事なく城から脱出し、南部王国の関所に向かう。どうせこの国にいても反逆者として捕まるだけだ。幸いオレたちのギルドカードはサイモンのポケットに入っていたので身分を証明する分には問題ない。家にもサイモンの手が回っているだろうから、身一つでの出奔だ。
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