第二十三話
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トムのメンバーのお陰だ。
「それじゃ、今日はどうするかな・・・」
今日一日をどう過ごすか考え始める。
誰かと甲板で稽古、部屋で読書もいいかもしれない。
もう一つは隣にいるキャナルと・・・
そんなことを考えていると、突然、研究室の扉が開き、リタとウィルが大慌てで出てきた。
「大変よ!被験体が逃げたわ!」
「被験体って・・・」
その単語を聞いた瞬間、嫌な汗が流れる。
頭の中で、何度も違うと言い聞かせて恐る恐る聞くと、ヴェントの願いは打ち砕かれた。
『コクヨウ玉虫』と言われた瞬間、慌ててキャナルに視線を移すと、キャナルの顔がどんどん青ざめていた。
声をかけようとしたら、キャナルは悲鳴にならない声をあげ、風のような速さでホールを出ていった。
「やっば・・キャナル!落ち着け!そして待て!」
『コクヨウ玉虫』も気になったが、それは他のメンバーに任せ、先程逃亡したキャナルを追いかけた。
まずは食堂を調べることにした。
室内にはいつも食堂で仕事をしているロックスとクレアが居た。
「ロックス!クレア!キャナルを見なかったか!?」
「い、いえ、見てませんけど」
「私も見てないです」
「そうか、悪い邪魔した!」
すぐに食堂を出ようと、扉を開けた瞬間、二つの衝撃波がいきなり目の前に現れる。
「うおぉ!!」
間一髪、衝撃波をかわすと、目の前に『コクヨウ玉虫』と蒼破刃を放った構えをしていたユーリと魔神剣を放った構えをしていたエミルが立っていた。
エミルの瞳はいつもの優しい緑色の瞳ではなく攻撃的な赤い瞳に変わっていたので、ラタトスクモードだと気付く。
「悪い、ヴェント!」
「邪魔すんな!どけ!」
ここは危険だと思い、急いで食堂から逃げ出した。
次に機関室を訪れ、辺りをくまなく捜索する。
一番奥まで調べてみると、人気のない所にキャナルは頭を抱えてしゃがみこみながら隠れていた。
「キャナル・・」
呼びかけてみると、キャナルは肩をビクッと震わせながら振り返る。
瞳には溢れんばかりの涙が溜まっていた。
そんなキャナルを慰めようと、頭を撫でてやる。
「落ち着いたか?」
優しく微笑みキャナルの手を握ると、キャナルはこくこく頷きながら安心した表情を浮かべる。
キャナルを立ち上がらせて、これで問題が一つ解決した。
そう思った時、
「待てー!!」
カイウスの叫びと共に、『コクヨウ玉虫』が二人の目の前を通り過ぎて行き、キャナルは再び硬直する。
「いやあぁぁぁぁ!!もう嫌ですぅぅぅ!!!」
「キャナルぅ!せっかく解決したと思ったのにどうしてくれるんだぁぁ!つーか、お前は虫を見ると動けなくなるんじゃなかったのかぁぁ!!!」
泣きながら全速力で走り去って
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