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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第67話 疫鬼
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る飛霊と、疫鬼の取り憑いた患者の禍祓い(まがばらい)を行う飛霊を作って、このブレストの街の出来事に対処。
 そして、本体の俺と湖の乙女の二人でこの異界化の核を探せば、これ以上、被害が大きく成る前に、この異常事態を終息させる事が出来るはずです。

 もっとも、出来るだけ早い内にこの疫病騒動を終わらせなければ、その異界化の核の正体如何に因っては、世界的な災厄に至る可能性も高いとは思うのですが。
 まして、この街以外に大規模な疫病が広がれば、俺一人では対処が出来なく成りますから。

 結局、時間との勝負。今回の事態に関してもやや出遅れた、と言う事なのかも知れませんが。

「そうしたら、明日朝一番にそれぞれの形代を供養してから、次の行動へと移ろうか」

 俺の言葉に、無言で首肯く湖の乙女と、彼女の仕草を確認してから、俺の言葉に首肯くモンモランシー。
 そう言えば、モンモランシーの家は、何代か前までトリステインのラグドリアン湖の精霊との交渉役を務める家系でしたか。

 ならば、彼女、モンモランシーが湖の乙女の事を時折、気にするような事が有るのも不思議では有りませんかね。

 そんな事を考えながら、次の行動を頭に思い浮かべる俺で有った。


☆★☆★☆


 朝日と、さわやかな秋の風に支配された世界。
 そして、オデ河をゆっくりと流れて行く小さな船。
 その数は、一艘や二艘ではない。

 大陸に存在する河に相応しい流れで、ゆっくりと波間を大海原へと向かって進んで行く船団。その眺めは、この風習を知らない者から見たとしても興味を惹かれる物だと思える内容。

 朝の光を受けてキラキラとした輝きを発する川面を、真新しい白い帆を張った船の模型。
 その模型の船団が静々と進み行く様は、何となくわくわくして来る物でしょう。

 船のサイズは三十センチ程。疫鬼を封じた形代と供物と成る赤飯を乗せてから河に流す供養。
 尚、川に流す理由は、恨みやその他の負の感情は土にしがみつく習性が有るから。
 故に、水に流す。
 この方法で疫鬼として何モノかに操られた鬼たちを、それぞれに相応しい世界へと送る方法。所謂、送り雛や精霊流し。そして、疱瘡送りと呼ばれる供養の方法と成るのです。

 後は……。



 ゆっくりと、自らの肩の高さに上げられる扇。
 その動きに合わせて活性化した精霊たちが付き従い、俺の身体を淡い燐光にも似た光が包み込む。
 そして、俺の動きの対に成るかのように向かい合い、こちらは片膝を付いた形から俺と同じように扇を肩の高さまで持ち上げる湖の乙女。

 その時の俺の姿はと言うと……。
 身体を覆うのは白の狩衣。頭には黒の烏帽子。そして、袴に関しても無紋の白袴。
 何時ぞやの、魃姫に相対した時の
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