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SAO─戦士達の物語
百二十二話 The Red-Nosed Reindeer─赤鼻のトナカイ─
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いている光景だった。
土産物屋や喫茶店、宿まで、あらゆる建物が有ったが、それらに例外なくLED灯の或いは旧式の小型豆電球まで沢山の電飾が貼り付けられ、その区画全体が一つのパレードのように、なったイルミネーション。

宮ヶ瀬湖。
東丹沢に有る。宮ヶ瀬ダムによって出来たダム湖である。
神奈川県、愛甲群、愛川町。清川村。そして相模原市緑区。にまたがり、毎年多くのイベントを湖畔に有る公園で行っているが、特にこのクリスマスイルミネーションは、日本でもトップレベルに巨大な、高さ30メートルのモミの木を使ったツリーが有る事で有名で、毎年多くの客が訪れる。

思わず、美幸は歓声を上げていた。

「凄いね……」
「おいおい、立ち止まるにはまだまだ早かぁ有りませんかい?お嬢さん?」
「え?」
言いながら涼人が歩き出すので、美幸はそれに続く。と……

「おっと……」
「ひ、人いっぱいだね」
「まあなぁ、こんだけのもんなら見に来る奴も多いわな……しゃあねぇ」
「ひゃっ!?」
「!?」
涼人が動くと同時に、美幸の音程の跳ね上がった声が響いて、涼人の方が驚く。

「何だよ!?」
「り、りょう、て、て、手首……」
「はぁ?」
涼人の手は、美幸の右手“首”を掴んで引っ張っていた。一応繰り返して置くが“手首”である。“手”ではない。
しかし美幸にとっては大事件である。幼い頃はそれこそしょっちゅう互いの手を握っていた物だが、今は既に二人とも19である。

『こ、これじゃまるで……』
思い浮かべてあっという間に、ボボボボッと顔が熱を持つのが分かる。しかも掴まれた手首から間違い無く涼人の手の暖かさが染み込んで来るのだから堪らない。益々身体が熱くなり……。

「あぅ……」
「……?」
真っ赤になって妙な声を上げながら俯いた美幸の手を怪訝そうな顔で引いていき(何度も言うが、掴んでいるのは“手首”だ)人混みの中を抜けていく。

そうして……

「っと、おい美幸、地面はいいから前見ろ前」
「え……?」
相変わらずの赤いままで顔を上げた美幸は……即座に目を見開いた。
いつの間にか、目の前には開けた空間が広がっていた。

美幸の直ぐ目の前には、下へ向かう長い階段が広がっている。広く、横へ横へと広い大きな階段を下った先にはかなり広い野原が有り、その中心に大きなモミの木が立っていた。
白を基調として、虹の七色をイメージしたような美しいイルミネーションが下から上へと施されたそれを目にして、美幸はこぼれるように呟く。

「綺麗……」
「だな……」
二人揃って感嘆の声を上げながら、暫く並んでその光景を眺めていた。しかしその内に、涼人はふと明後日の方向を見て、ニヤリと笑
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