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SAO─戦士達の物語
百二十二話 The Red-Nosed Reindeer─赤鼻のトナカイ─
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音楽の波が、サチの全身を包み込んだ。

────

ALO・イグドラシルシティ・某酒場。

「はー、やれやれ。今頃あの二人はお熱くデートかしらねぇ……やれやれまったく……」
「り、リズさん酔ってませんか?」
「こっちの酒でどうやって酔えってのよ〜」
「あう」
むふー。と息を突きながら言ったリズに、シリカが引き気味に声を掛けるとリズはぽこんとシリカの頭を奴突きながら言ってジョッキの中身をもう一度煽る。

「そうやって文句言う割には、リズって結構応援してたりしてるみたいじゃない?」
「そうなんですよ〜。全く略奪愛なんかも良いかもねとか言ってましたけど、そう言うの苦手なんですよ。やっぱりリズさんは」
「其処二人!うるさ〜い!」
隣で苦笑しながら冷静な分析を漏らした少女……シノンの言葉に、シリカが同意し、リズはジョッキをブンブン振って文句を言う。

「そりゃ〜あたしだってさ。初めはアスナからキリトを〜何て考えてた事もあったけど……いざ会ってみたらもう隙なんて全然だし?寧ろあんだけ頑張ってたの見てたらさ。応援したくも成るわよそりゃ」
「あ〜。もう何か、敗北宣言って感じね」
「ですね〜。略奪愛を実践するにはリズさん優しすぎです」
「うぅ〜……」
むすっ。として顔を机に伏せたリズに苦笑しつつ、シノンはシリカに問う。

「それより、シリカは?誰かお相手は居ないの?」
「え?あ、いえいえ。私はまだまだ〜って感じで。正直、どう選んでいいのか……」
と、そんな事を言っていた時である。

「あ、すみません。メッセージです」
言いながら、シリカは自分のウィンドウを表示して、メッセージを読み始める。そして……

「っ!?」
「!?ど、どうしたの?」
突然椅子から立ち上がった。
驚き声を上げたシノンに。シリカはわたふたとして混乱したようにウィンドウとシノンを見比べた後、早口で言う。

「あ、あの、ちょっと私行く所が出来てしまったので、これで失礼します!すみません!」
「え?えと、ちょっと!?」
言うが早いが、シリカは何やら大急ぎで酒場を出て、空へと飛び立っていった。
唖然とした様子でその様子を眺めていたシノンは首を傾げるとカウンターに向き直る。

「男ね」
「わっ」
と、何時の間にやらムクリと身体を起き上がらせたリズが、低い声でそんな事を言い、シノンは一瞬驚いたような顔をした後苦笑する。

「リズ、貴女やっぱり少し酔ってると思う」
「むぅ……」
口を尖らせるリズを苦笑して見ながら、シノンは今は会えない場所に居る彼女の友人の事を思った。

『君にも、少しでも届いてると良いな……』

────

「はー、お兄ちゃん達は今頃デートかー」
「ふふふ。和人達も大人になったわねぇ」
「ふーん
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