第3話「仕事―表」
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9歳だということが今朝、判明したが――の子供にこれ以上言っても泣かせるだけだとタケルは判断したのだかもしれない。
「これからは気をつけた方がいい」
やはりあくまでも無表情で話すタケルに、ネギはコクンと小さく頷き「ごめんなさい」と頭を下げた。
「……反省したなら、次からは気をつければいい」
「はい!」
と元気よく答えたネギが頭を上げようとしたところ、タケルがそれを遮る形でネギの頭に手を置き、黙り込む。
「……」
「…………?」
頭に手を置かれたままのネギがキョトンとして、そのまま首をかしげたところで、タケルは言葉を紡ぎだす。
「それと、まぎすてるまぎ、だったか? あまり知らないから適当なことはいえないが……頑張れ、応援してる」
「あ」
ぱあっとネギの顔が明るくなった。
そのまま手を離して先に歩き出したタケルに、ネギは「はい!」と元気に微笑んで彼の横に並んだのだった。
教室は騒然としていた。
だが、それは仕方のないことだろう。
昨日には約10歳の少年が担任教師として赴任してきたと思えば、今度は16歳の、つまりは彼女たちにとって見れば2歳しか変わらない、年上の先輩が副担任としてこの教室にやってくるのだから。
ガラリと教室の扉が開き、遂にその噂の先輩が顔を出した。閉まっていた扉によって支えられていた黒板消しが、扉を開いたことによってその支えをなくし、落下を開始する。
いわゆる黒板消しトラップというやつだ。
――かかったか!?
教室中のほとんどの人間がそう思ったところでタケルはひょいと頭を引っ込めてしまった。そのままモフッという音を立てて粉チョークを撒き散らす。
「チッ」
小さな声で誰かが呟いたことをタケルは気にせず、足元に張られたロープを引っ張る。連動して作動する予定だった罠は次々と発動し、水の入ったバケツが落ち、床が水浸しになった。おもちゃの矢がなかなかの勢いで数本飛び出し、床に張り付いた。
そしてそれらの罠は沈黙し、威力を発揮することなくその効力を失った。
「おお〜〜」
今度は小さな歓声が上がった。罠としては簡単なものだが、上の黒板消しで注意を上にそらし、下方にロープに引っかけるという2段構えの罠はなかなかに巧妙なものだ。
「……効果的だな」
呟くタケルに、後ろでネギが「すごい」となぜか驚いているが、もしかしてネギは両方の罠にかかったのだろうか。
――黒板消しの罠は確かに背の低いうちは鬼門となりやすい……ネギならありうるな。
と、そこまで考えて、今は関係なかったと、首を振るう。
のんびりと歩を進め教卓の前に立ち、全体の顔を見渡す。幾人か見知った顔もあり、少し
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