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ネギまとガンツと俺
第3話「仕事―表」
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とを知らせる。汗だくになったスポーツウェアを着替えようと思って、気付いた。

「……荷物!!」

 ――おおおお落ち着け、俺。あと15分もある。寮まで片道10分と考えて、往復20分。駄目だ、間に合わん。

「……初日から遅刻など」

 数秒間、目を閉じて沈黙。そうして意を決したのか、彼は目を見開いた。

「仕方ない!」

 とりあえず猛ダッシュ。人の流れに逆らって走る。既に登校ラッシュは始まっており、大量の生徒が学校に向かってきている。これだけの人の量の流れに逆らうのはなかなか難しい行為かもしれない。だが、タケルにとっては大した問題ではなかった。

 なぜなら――

 通り過ぎる学生達が驚きでそれを見つめながらも過ぎ去っていく。タケルの目の前には遮るような人間はいない。

「おい、あいつ壁の上を走ってるぞ!」
「馬鹿だ!」
「え、なにあれ?」

 ――そう、彼は壁によじ登り、そこを走っていたのだ。

 何百、下手をすれば千以上もの人が通り過ぎるこの道で、そんなことをすれば目立つのは必至である。まさに無恥でなければ出来ない技だ。

 口々にはやし立てる学生達は無視。ものすごい恥ずかしいことをやっていることに気付かず、タケルという名の冷静馬鹿は必死に走っていた。

 ――間に合え!



 
 ――む?

 カエデは校舎から飛び出していく人の背中を見て首をかしげた。

 ――あれはタケル殿では?

 細い目をこらすが、それは間違いなく大和 猛だ。今朝たまたま出会った先輩、というか今日からは先生らしいのだが。

 目は彼の背を追いつつ、思考は今朝の出会いにまで飛ぶ。

 最初声をかけられた時は特に何も思わなかった。無愛想な表情で、地味な顔。どこにでもいる平凡な人間だと思った。だが、それは一瞬で違っていたと悟らされることとなった。

『長瀬 楓……か?』 

 ――拙者の名を呟いた瞬間に湧き出たあの殺気の量、半端でなかったでござるな。

 あの時に放たれた殺気によって、彼女はすかさず臨戦態勢に入った。しかも、カエデ自身が本能的に動くほどに、反射的に。

 その後、けん制として放った手裏剣は見事に回避されたカエデが「殺るしかない」と腹をくくったところで彼は「道に迷っただけで」という言葉を吐いた。

 それに毒気を抜かれたカエデはやっと落ち着いて、彼が単なる迷子だということに気付いたのだ。

 ――にしても、徹底的なまでに凡人を装った雰囲気や、あの時に放たれた殺気の量、それにあの見事な回避といい、すさまじいほどの手練れでござるな。

 「拙者ももっと精進せねば」とだれに言うでもなく呟いたカエデの言葉は、後ろでギャアギャアと騒いでいる女子生徒たちによって掻き消
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