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万華鏡
第三十二話 呉の街その四

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 だがそういった店とは別にだというのだ、江田島のお好み焼き屋は。
「広島焼き多いよな」
「やっぱりそれってね」
「美味いからだよな」
「ああ、それじゃあな」
「食べよう、ここでね」
 この呉でだというのだ。
「そうしよう」
「うん、それじゃあね」
 こう話してそうしてだった。
 五人は商店街の中のお好み焼き屋に入る、そうして。
 それぞれお好み焼きを注文する、すぐに大坂の一つに混ぜたものではなく挟んだものが来た。それぞれ烏賊に海老、豚、肉、ソーセージである。 
 ソースをつけて食べる、だがここで。
 里香はふと気になってこう四人に尋ねた。
「おソースはいいけれど」
「マヨネーズ?」
「鰹節?」
「それに青海苔よね」
「そういうのはいいのかしら」
 ソース以外に大阪で使われるそうしたものはどうかというのだ、上につけたりかけたりしてもである。
「広島でも」
「別にいいみたいよ」
 景子は隣の店の客を見た、見ると中年の親父がそういったものを全て彼のお好み焼きにつけたりかけたりしている。
 それを見てだ、景子は里香に答えた。
「あの人だってそうだし」
「そこは大阪と同じなのね」
「こっちもお好み焼きだからね」
 そう言っているからにはというのだ。
「やっぱりね」
「一緒なのね」
「特に気にしなくていいみたいよ」
「むしろ必須みたいだな」 
 美優はその親父以外の客も見た、五人が座る大きな席とその席以外にも結構な客が入っている。中々繁盛している店だ。 
 そのどの客もだ、ソースだけでなくマヨネーズや鰹節、青海苔をつけたりかけたりしている。それを見て言うのだ。
「どれもな」
「ううん、そうみたいね」 
 里香もその客達を見て言う。
「それに一緒に飲むものもね」
「ビールにな」
 まずはこれだった、炭水化物系には抜群に合う。
「それとサイダーな」
「コーラの人もいるわね」
「そこも同じだよな」
 大坂のお好み焼きとだというのだ。
「じゃあ飲み物もな」
「サイダーにする?」
「それでいいんじゃね?」
 美優はまだ自分達の周りを見ているがそのうえで里香に答えた。
「それじゃあさ」
「今からね」
 五人で店の人を呼んでそれでサイダーも頼んだ、それから五人で頂きますをしてからへらと箸で食べる。それから言うことは。
「美味いな」
「そうね」
「大阪のと同じ位」
 へらで切ったそれを口の中に入れてそれぞれ言うのだった。
「いや、これが何か」
「同じ位ね」
「美味しいわね」
「負けてない」
「五分と五分ね」
 琴乃は大阪のそれを思い出しながら真剣な顔で言った。
「どっちがどっちかはね」
「ええ、言えないわ」
 景子も真剣な顔で琴乃に答える。
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