第2話「受容」
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軽く首を振る。
どうせ考えてもわからないことだ。気にするだけ無駄というもの。それに彼等が何を考えていてもとりあえず今は従うと決めたのだ。
――あまり深く考えても仕方がない、か。
自分に結論づけたタケルがその場を離れようと一歩踏み出したとき、「ん」と声が聞こえた。
――そういえば。
彼女の存在を忘れていた。タケルは少し申し訳なさを感じながらも「大丈夫か?」と声をかける。
「え、あ、はいーー」
妙に間延びした声で答えた彼女は、髪に隠れた目をパチパチさせている。状況が理解できないのだろう、ゆっくりと立ち上がった。
「あの……助けてくれたんですかーー?」
おずおずと声をかけられたタケルはほんの少し考える素振りを見せて首を横に振った。
「いや、ネギがキミを助けた。後であいつに礼を言ったらいい」
「え、ネギ先生が?」
なぜか顔を赤くさせている少女には気にせず、背を向けて歩き出す。本を拾ったほうがいいだろうか、とも考えたが、ネギの仕業だろう、本がほとんど積みあがっていて実際に拾う必要があるのは1,2冊しかなかった。
そこまで紳士を気取る必要もないだろうと割り切って歩を進めることにする。先程捨ててしまった荷物を拾い、再び帰路につく。
「ふぅ」
自然とこぼれる吐息に、なぜかおかしくなって笑みが浮かぶ。空を見上げるとまだ赤く、太陽がその姿を残していた。
「見ましたか?」
タケルのいなくなった学園長室で、タカミチが学園長に呟く。
「……ふむ」
これまた学園長も頷く。
彼等は見ていた。タケルが爆発的な加速を得て少女を助けるところを。
「私には魔法も、気の動きも感じられませんでした」
「わしにも、じゃ」
「となると――」
信じられない、とても言いたげな顔で呟いたタカミチに、学園長がその先を答えた。
「わし等にすら感じられないほどの一瞬で魔法の虚空瞬動、もしくは気でいう瞬動術を発動したということじゃの……」
「ええ」
「君にも感じられなかったということは、彼は余程の達人じゃの」
タカミチは頷くことによってその答えを返し、何かを思いだのか、口を開いた。
「だとすると、さっきの魔法や気を知らないといった言動も……」
「うむ、ブラフじゃの」
「ハハ、これは一本とられましたね」
苦笑いを浮かべるタカミチだったが、学園長は首をふり、「いや」
「あれが嘘だとはわかっとったよ」
「え?」
思わず聞き返したタカミチに、学園長は虚空を見つめたまま、身を振るわせた。
「長く生きれば生きるほど、目でわかる」
「……?」
「彼は今まで、そうじゃな多分……竜宮寺の娘と同等か、いや恐らく
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