第2話「受容」
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黒球が意味不明なことはいつも通りだ、だからそれはいい。だが、問題はこの2人、学園長とタカミチだ。今、この場にいるのは彼らだけということはこのガンツの存在を知っているのもこの二人だけなのだろう。
タケルは戸惑いながらも二人の顔を交互に見つめなおす。
――俺をかう? 意味があるのか? いや、そもそもなぜ2人はガンツの言うことを聞く? ……頭に爆弾でも埋め込まれたのか?
「なぜ、この玉のいうとおりに従った?って顔だね、タケル君?」
まるでタケルの思考を読んだかのように的確な問いがタカミチから発せられた。
ずばり言い当てられたタケルは気まずい顔を見せるが、反抗しても仕方がないと判断したのか、素直に頷く。
「……ええ」
「全てを答えるには話が長くなるが……ええかの?」
「……お願いします」
というわけで話を聞いたのは良かったのだが、本当に長い話だった。途中、不要な雑談も交えられたせいで余計に長く感じられてしまった。
世界の歴史からこの世界のあり方。さらにはその予言の全容。
「―――というわけじゃ」
「……なるほど」
とかいいつつも全く分かりませんでした。
――ごめんなさい。
要するに、これらのことは想定されていたことだから、そのとおりに動いても問題はないらしい、ということはわかった。
それとどうやらここは魔法と気の世界らしく、魔法使いが実在することも判明した。信じていなかったが、目の前で実演されてしまっては信じるしかないだろう。
本当は魔法の存在は秘密らしいので口止めされた。「なぜ、教えてくれる?」と尋ねると、学園長は「すぐにわかる」とだけ笑っていた。
――気にはなったが、すぐにわかるのなら問題はないだろう。
とまぁ、大事なことといえばコレくらいだろうか。
彼等が何を考えているのかはわからないし、自分に何を求めているのかも分からない。ただ、ここが異世界だとして、自分の居場所はどこにもないことだけは確実にいえる。
だから、彼等に従おう。ここでの住む所も、仕事も、給料もくれるというのだから文句はない。
「……少し、楽しそうだな」
誰にでも言うでもなく呟く。
陽も暮れかけて、いつの間にか下校生徒がほとんどいなくなった帰り道を歩く。無表情に、だがどこか優しい目で空を見上げるタケル。
と、一人の少女がタケルの目に入った。目元まで隠れる前髪のせいで正確な顔は分からないが、それでもタケルには見覚えがあった。
――あれはさっき学園長にもらった生徒名簿に載っていた……誰だっけ?
「……危ないな」
少女は本をめいいっぱいに抱え、前が見えずに階段を下りていた。フラフラとバランスをと
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