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ネギまとガンツと俺
第2話「受容」
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タケルが廃人の如く何かを呟いていると、トントンと肩を叩かれた。

「……え゛゛?」

 幽鬼のような様態で振り返ったタケルに、黒髪美少女はぺこりと頭を下げた。

「ウチは近衛 木乃香です。これから宜しくお願いしますー」
「――あ……宜しく」

 美少女な彼女の笑みに、タケルが顔を少し赤くさせてしまったのは無理のないことだったのかもしれない。

 慌てて顔をそらしたタケルの耳に「はくちん!」とネギのくしゃみが聞こえてきた。ソレと同時に何らかの風が通り過ぎ、ズバと何かが裂ける音。

 ――なんだ?

 首をめぐらせ、視線がアスナに辿り着いたとき、今度こそタケルは顔を真っ赤にさせた。

 なぜか服が破れ、ほとんど下着姿のアスナがそこにいたからだ。

 そして響く、アスナの悲鳴。

「キャーッ、何よコレーッ」

 ぺたりと座り込んだアスナの悲鳴が既に人気のない通学路に響いた。




 タケルは学園長室に連れて来られていた。先程まではネギにアスナに木乃香もいたのだが、彼等は授業だとかで話が終わって早々、先に部屋を出て行った。

 そして、今は学園長とタカミチ、それにタケルの三人しかいない。

「……説明していただけますか?」

 端的に。

 何を、とは尋ねない。そんなことはわかっているだろうし、わざわざ聞く手間すら今は惜しい。タケルの余裕のない表情に、学園長は「ふむ」と立派に蓄えられたあごひげを弄り、口を開いた。

「その前に……君はこの世界の住人ではないな?」

 ――この世界の住人ではない?

 何をばかな、と言おうとして口が止まった。

 ――突如ここに現れた。見覚えも聞き覚えもない。ここがどの辺かさえわからない。

 なるほど、今まで思いつかなかったが、答えの可能性としてはありうる。

 ガンツのような存在もあるのだ、ここが異世界といわれても今更信じられないことなどない。いや、むしろ考えれば考えるほどにそんな気がしてきた。

「……もしかしたら」

 タケルが恐る恐るといった様子で頷くと、学園長は笑い、言葉を続ける。

「君はこれを知っとるかね?」

 そう言って学園長は手の平サイズの黒い球を机の上に置いた。

 さっきの質問は? とか考えながらもその黒い玉に目を凝らす。

 ――ビー玉……? いや、鉄の……違うな。

 タケルがそこまで考えて、フとある存在に思い当たった。彼の中で黒い球で思い当たるものといえば一つしかない。

 慌てて黒い玉を手に取り、表面を確認する。予想通りというか当然というか、そこには文字が浮かび上がっている。

【やまとたける を かうなら ねぎ の ふくたんにん に してください】
「……は?」

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