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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜妖精郷と魔法の歌劇〜
密やかな会合
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、ですけどね。ま、それはあいつの性格上、無理と言うものでしょう」

にこやかに言い放つその男に、ヴォルティスは一睨みすると言った。

「ならばなぜ、テオドラは放って置いたのだ。負けると解かっているのに止めないなど、愚将のやることだぞ」

一般人ならば、蛇に睨まれたカエルのように竦み上がり、動けなくなってしまうその視線を男はやはりにこやかに受け流した。

「ならばイーゼンハイム卿。あなたは力が自分よりも上だったならば、どんなに憎い敵でも逃げますか?例えば、ご両親を殺した反王室派とか……」

「────────ッ!!」

ガタァン!という音が響き、ヴォルティスが椅子を蹴倒しながら立ち上がった。

その顔には、悪鬼のごとき憤怒の形相。

「貴様………。我を愚弄する気か…………」

ゆらり、と見えない何かが大柄な身体から放出される。平和そうにさえずっていた鳥達の鳴き声がにわかに遠のく。

しかし、この期に及んでもまだ男は涼しげな笑顔を顔に貼り付けている。

「まさか。俺にそこまでの度胸はありませんよ、伯爵」

「……………………………」

黙って蹴倒した椅子を元に戻して腰掛けたヴォルティスに、気を取り直したように男は続ける。

「しかし、卿。あなたの言う通り、少しスケジュールが詰まってきたのは事実です。こうなったら致し方ありません。日本に待機させている《彼ら》を動かすしかないかと………」

「………それで、レンは助かるのか?」

重々しくいうヴォルティスに、男は爽やかな笑顔で言う。

()()?」

「……………………………………………」

「俺はただ俺のやりたいことをするだけです。他人のことなど興味もないし、本心から言えば知りたくも無い」

「それが、卿の弟であってもか」

「…………はい」

相変わらず、何を考えているのか窺えない笑顔を顔に浮かべて、男は言った。

返答までに一瞬の空白があったが、その間にこの男は何を考えたのだろう、とヴォルティスは思ったが、もちろん口に出してまで訊かなかった。

時間の無駄だ。

「卿の考えることなど、武人たる我には欠片も解からない。しかし、これだけは言っておくぞ」

そう言うと、ヴォルティスはテーブルから身を乗り出して、黒衣の男にズイッと顔を近付けた。

「あの子の平和を崩すな」

「………《平和》、ですか。一人の少女を救い出すために、自らの命も投げ出して救出しようとする。これのどこが平和なんですか?」

「よいか、卿よ。《平和》というのは、他人が定めるものではない。己が定めて初めて《平和》となるのだ」

「……………ありがたく頂戴しておきますよ。しかしあいつにとっての平和は、まだ実現されてはい
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