第1話「出現」
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えを導け。全ての疑いが晴れたとき、それが現実だ」
誰の言葉だったか、それは忘れた。だが、この言葉のおかげでガンツによる初めてのミッションでも死なずに済んだと思っている。
この言葉を咀嚼するように呟き、一つ一つ、今分かっている範囲で答えを導く。
「ガンツのミッション中に死んだor飛ばされた」
YES
これは自分が覚えている唯一にして確実な情報だ。
「ミッションをクリアした」
NO
自分はクリアしていない。他の誰かがクリアした可能性はあるが、自分が死んだ時はまだクリアしていなかった。
「誰かに再生してもらった」
NO
あのミッション開始以来1点もとったことがなかったアキラが自分を再生できるほどに点数を稼いだとは思えない。
ならば他の面子は? とも考えられるが、それもありえない。なぜなら俺達の部屋から最後のミッションに出撃したのは俺とアキラだけだったから。
「となると、ガンツからの開放?」
……一応、ありうる、のか?
今までのガンツから考えて、わざわざ死んだ人間を再生するとは思いづらいが、もしかしたら全て終わって、全て開放されて、全員再生されたのかもしれない。
可能性としては低いが、まだ現状の説明としては一番ありうる気がした。
兵器が自分の部屋に散在して、そこに黒球のガンツもないなら、開放されたと考えてもいい気はする。
だが、不確定要素が多いので、この答えに関しては保留するしかない。
「そして、一番の問題……ここは?」
改めて部屋を見回す。
当然だが、全く見覚えがない。どうすればいいのか見当もつかない状況だ。とりあえず差し迫った危険はなさそう、ということにだけは確認できる。
「……ふわぁぁぁ」
危険はなさそうと思った瞬間にどっと疲れが出た。今までミッションをしていて、それで死んだと思ったら意味不明な世界で。
それで疲れないほうがどうかしているだろう。
「……駄目だ」
そのままベッドにダイブ。
「明日まで生きてたら考えるか」
俺らしくない楽観的な言葉と共に意識が一瞬で眠りの底に落ちていった。
――麻帆良学園学長室。
夜のその部屋で、一瞬だが、確かに光が灯された。誰もおらず、故に無音でなければならない学長室にカツンと音が響き、音はパタリと止んだ。
学長が愛用している机の上に落ちた新たな黒い球。手の平サイズに収まるその球に、何らかの文字が浮かんでは消える。それを何度か繰り返すうちに黒球は完全に沈黙した。
何らかの超常の力で運ばれた彼とそれ。
『科学』でもない。『魔法』でもない。ましてや当然『気』でもない
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