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ネギまとガンツと俺
第1話「出現」
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せば!

 駆ける、誰よりも早く。

 駆ける、雷の如く。

 間に合った。

 アキラを粉砕しようとしていた腕を切り飛ばし、返す刀で大きな石像を両断。ガンツソードをその場で捨て、取り囲んでいた小さな像をXガンで複数ロック。

 チャージ、チャージ、チャージ。

「発射ぁ!!」

 石像たちの肉片が一気に飛び散った。血のシャワーを浴びつつも、アキラに声をかける。

「だいじょ……」

 ――うぶか?

 最後まで言い切ることは出来なかった。

 アキラの座り込んでいる地面に映る影。

 でかい。

 反射的に見上げ、息を呑んだ。

 凄まじい速度だった。

 何かを考える前に、体が動いていた。

「逃げろ!!」

 アキラを思いっきり突き飛ばした。弾かれたアキラはまるで信じられないものを見たかのように目を見開き、そして叫んだ。

「タケ――!!」

 アキラの幼い声を耳に残し、視界には迫り来る巨大な足を最後に、俺の意識は闇へと沈んだ。




 俺は、死んだ。
 



「……?」

 恐る恐る開いた目に映ったのは一面に咲く夜の枯れ木。人工の光が一切ない通りを満月が照らしている。少し肌寒い風が通り過ぎ、頬を撫でる。風と共に落ちていた葉が舞い、視界を温かく彩った。

 ただ優しい世界がそこにはあった。

「……え?」

 自分の状態を確認し、小さな声が自然ともれ出た。四肢が満足に動く。ガンツスーツを身に纏い、その上に自分の制服を重ねて着ている。さらには鞄まで肩にかけている。

「……は?」

 意味がわからない。

 ミッションをクリアしたのか? ……いや、それなら元の黒球の部屋に戻るはず……アキラは? それにあの星人たちは?

 疑問が次々とわきあがり、止まらない。

 何か少しでも手がかりはないかと、体をまさぐる。鞄の中、胸ポケット、ズボンのポケット。

「……あった」

 出てきたものは財布、だろうか。焦る心を必死に落ち着かせて財布を開ける。お金、図書カード、何らかの会員カード、そして、生徒手帳。

 生徒手帳を開き、さらに混乱した。写真に写っているのは確かに自分。どこか不貞腐れた顔で、生白い顔色。短い黒髪に、情けない目じり。
 

 大和 猛 (やまと たける)
 高校一年生。


 まぎれもなく自分の顔が映り、記されているのは自分の名前で、そのはずなのに。

「麻帆良学園……高等部?」

 聞きなれない学園の名前に首を傾げてしまう。いや、確かに高校に通ってはいたが、こんな名前の学校には通っていなかった。

「……どこだ、ここは」

 今までのミッションとは別の意味で過酷なこの世界
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