第一章 八話 熱圏突破 前編
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圏に備えて熱中症患者の受け入れ準備と冷水の用意を進めていた。
「エーヴァさん、頼まれてた氷枕です。」
「ご苦労様。ほら、これは礼だ。」
「おお!?おお………ハハハ………」
エーヴァに頼まれて氷枕を持ってきたクルーに冷湿布を渡すエーヴァ。彼女の愛用品である。ヴァナージの熱圏に入った時には重宝するだろう。
いやはや、このクルーはいい物をもらったものだ。
釈然としない顔で医務室から出て行ったクルーを横目に、エーヴァは氷枕に氷をしこたま詰め込んでいた。熱中症患者が少ない事を祈りたい。
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ユニコーン 整備庫
整備庫にはそこの主であるバークがバウンゼィの整備で入手したデータをまとめていた。
彼は一人の時、そしてメカが絡んだ時とても饒舌となる。
「ふむふむ………おお!なるほど!アレだけ性能が高いのはダメコンが徹底してたからか!でもこんなCICは見た事ないな。ギリアス君考案のオリジナル?だとしたらすごいや!これを参考にユニコーンのCICももっと性能が上がらないかな?」
完全に別人になってるのだが、これはあの無口な整備士のバークである。絶対スキルにメカオタクがあるに違い無いと白野は睨んでいる。
彼はヴァナージの熱などメカをいじってさえいればそよとも感じないだろう。
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ユニコーン ブリッジ
「艦長、準備完了だ。いつもの頼む。」
「任せておけ。………ユニコーン発進!」
艦長としての威厳の篭った号令を受けて、ユニコーンはブースターをふかせて再び漆黒の宇宙へと漕ぎ出して行った。
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マゼラニックストリーム 超白色矮星ヴァナージ
ユニコーンのモニターには彼方に浮かぶガスの塊が映されている。そろそろ外気温度が上昇し始める頃だ。
「……外気温度が上がっている。そろそろ放熱板を展開してくれ。」
「了解。放熱板、展開。」
「周辺のデプリに注意しろ。放熱板を傷付けられたらたまらん。」
装甲に耐熱処理を施してもこれである。この上放熱板がやられたらユニコーンは蒸し風呂もかくやの熱地獄となるであろう。
白野などは悠然と浮かんでいるヴァナージが「ほらほら、かかって来なさい」とでも言いたげにしているように感じるのである。憎たらしいことこの上ない。
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