第一章 八話 熱圏突破 前編
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なみにバウンゼィの整備士は先の戦闘で受けた砲撃の際に落ちて来た工具に頭を強打され、現在は医務室でベットの人のなっている。
なので、代わりにユニコーンからバークが派遣された。
「フフフ………エンデミオン製の艦をいじるのは久しぶりだなぁ………」
しかしこの整備士、ノリノリである。
いつもの無口も吹っ飛んでその顔は喜色満面。子供のように無邪気な笑顔で工具をクルクルと手の中で回している。
一般クルーの間で密かに囁かれている彼の【本性】とも言える状態になっている。
「まずはルートンさんが吹っ飛ばした砲門の修理………うん、五分もあれば一つ分は終わるかな。」
早速バウンゼィに取り付いて手際よく工具を振るうバーク。立っている舞台こそ違えど、その姿は上位ランカーを思い起こさせるほど堂々としていた。
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ユニコーン ブリッジ
「よし、諸君のセンスはよくわかった。次は具体的な艦隊戦のコツだ。基本中の基本だから必ず覚えるように。」
白野の講演はそろそろ終盤である。
「では、ユニコーンと敵艦の相対距離をよく見てみろ。」
モニターにはユニコーンが射程ギリギリのところで敵艦との距離を保っている。いわゆるヒットアンドアウェイ戦法の典型的な距離関係である。この状態を常に保つことが好ましい。
「なるほど、俺はすぐに離脱しなかったからやられたのか。」
一人納得するギリアスであった。他のクルーも納得した表情で頷いたりメモをとったりしている。
「………よし、それでは第一回艦隊戦講座はこれで終わりだ。各自持ち場に戻って別命あるまで待機せよ。」
「了解!」
「了解です、艦長!」
ギリアスを除く一般クルーは白野の指示に従い持ち場に戻って行った。その際にちゃんと椅子を片付けていったのは白野の艦のクルーの人間的な練度の高さ故である。
白野は最後まで残っていたギリアスを促す。
「ギリアス、お前の艦の修理が終わり次第出港する。艦に戻って準備をしておけ。」
「ああ。わかったぜ。」
ギリアスもクルーにならって椅子を片付けてからブリッジを出て行った。
一人になった白野はプロジェクターを片付けてから一通りの出港準備を整え始めた。
「さて、いよいよだな。ヴァナージめ………」
白野の意識はマゼラニックストリームの航路上にあるクソ暑いと評判の超白色矮星ヴァナージに向いていた。
白野はこのヴァナージの熱に対抗するためにわざわざユニコーンの装甲に大金を積んで耐熱処理を施させたのである。
どうにかしてマネーを毟り取ろうとする商魂逞しいカシュケントの業者相手に舌戦を繰り広げ、そ
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