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豹頭王異伝
新風
盗賊の論理
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りすんのは俺達だ、大暴れして存分に剣に血を吸わせてやります!!」

 ゴーラ軍の統率者は満足気に頷き、騒ぎ立てる若武者達を一瞥。
 パロ解放軍の指導者に視線を戻し、酷薄な嘲笑を浴びせる。
「やれやれ、物騒な連中だぜ。
 国王としちゃあ、欲求不満は解消させてやらねぇとなぁ。
 お宅の提案に乗ってもやっても良いが、元気の良い部下共を抑える自信は無ぇなぁ。
 戦闘にゃ参加しちまうだろうからよ、危険手当を上乗せして貰うぜ」

 土下座の姿勢から動かず眉を顰め、何事か思案を巡らせる老獪な聖王家の王子。
 上から見下ろし存分に嘲笑を浴びせ、酷薄な瞳で睨み付ける新興国の冷酷王。
「その必要は無い、と考えるのですが。
 先刻も申し上げましたが、ゴーラの勇者様方が戦闘に参加する必要は御座いますまい」
 ならず者の野盗風情に屈するものか、と怯えながらも懸命に虚勢を張る美貌の王子様。
 迫真の演技を継続する古代機械の探究者、心話で文句を言う誘惑と闘う灰色の眼の魔道師。

「無粋な事、言うもんじゃねぇぜ。
 よぅく考えな、お前に選択権なんざ無ぇんだよ。
 俺達が少しばかり暴れて見せりゃ、クリスタル解放も手っ取り早く片付くだろ?
 可愛い部下共も御覧の通り里心が付いちまっててな、早く国に帰りたくて気が立ってんだ。
 俺としても早い所、国へ帰してやりたいのは山々なんだがね。
 抑え切れなくなって部下共が暴れだしちまっても、ちょっと責任は持てねぇなぁ」

 パロ解放軍の最高責任者は唇を噛み、屈辱を堪える高貴な王族の表情を克明に演出。
 結界の裡で佇む魔道師は鮮明な心象《イメージ》を転送、ヨナ参謀長へ鬱積した感情を吐露。
「止むを得ませんね、勇猛なゴーラ軍の方々に手綱を付ける事は誰にも出来ないでしょう。
 レムス軍に与した者達も同胞ではありますが、現在只今の所は紛れも無い敵である事だし。
 飽くまでも歯向かう馬鹿共に恩情を掛ける気は無いが、降伏した兵は助命して下さいますね?
 但し万が一にも一般市民には手を出さない様、くれぐれも宜しく御願いしますよ。」

「あたぼうよ、お前さんは頭が良いぜ。
 俺達は赤い街道の盗賊でもなけりゃ、レントの海の海賊でもねぇんだからよ!
 指揮官の命令通りに動く様に厳しい訓練を積んだ、れっきとした一国の軍隊なんだぜ。
 ケイロニア軍が出るまでもねぇ、俺達ゴーラ軍だけで聖王宮を陥してやる。
 余計な心配は無用だぜ、そっちは金の工面だけ念入りにやってりゃ良いんだよ。
 細かい金額交渉は後廻し、クリスタル占領後の御楽しみって訳だ。

 パロ王族の御偉い様とはこれで手打ちだ、てめぇらも見届けたな?
 ケイロニア軍と戦う理由はもう無ぇ、クリスタルを陥せば大金持ちだぜ!
 イシュタールへ凱旋する前
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