第四十七話 決戦(その六)
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つのは別だと言う事だ」
「……」
オルラウが幾分困惑気味に俺を見ている。ブリュンヒルトを囮に使う事と俺の言った事がどう繋がるか分からないらしい。
「どれほど戦闘を優位に進めようとローエングラム公を斃さぬ限り反乱軍に勝利は無い。エーリッヒはその事をブリュンヒルトを囮に使う事で反乱軍に示したのだ」
「……」
「反乱軍はローエングラム公の居場所が分からずにいる。つまり極端な事を言えばこの戦場に有る帝国軍艦艇を全て撃破しなければ彼らはローエングラム公の死を確認できないと言う事になる」
「……」
オルラウの表情が変わった。顔を強張らせている。
「どれほど戦闘を優勢に進めても最後の一艦が残っていれば反乱軍はこの戦争に勝ったとは言えないのだ。帝国軍全艦を殲滅する、そんな事が可能だと思うか?」
「……いえ、到底無理です」
オルラウが顔を強張らせたまま答えた。その通り、到底無理だ。
エーリッヒはその現実を反乱軍に突き付けた。彼らにもそれは分かったはずだ。勝つ可能性は皆無に等しいと思っているだろう。今では自分を騙し惰性で戦っているようなものに違いない。彼らの勢いが落ちるはずだ。
エーリッヒらしい、辛辣で冷徹、そして容赦がない。今でさえ反乱軍にとっては地獄だろう。だがローエングラム公がここに最初から居なかった、ハイネセンに向かっていると知ったらどう思うか……。
ここに来た時点で反乱軍は敗れていた。勝つ可能性は一パーセントも無かった。それも分からずにただ意味も無く戦っていた……。
「早く味方に来て欲しいものだ」
「そうですな、いい加減守るのは飽きました」
そうではない、オルラウ。これ以上の戦いは反乱軍にとって苦痛以外の何物でもあるまい、それを終わらせたいのだ。……例えそれがどれほど酷い現実を見せる事になろうとも……。
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