暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
番外編 「自慢できない武ユウ伝?」
[6/7]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
箋の中に入った手紙を取り出した。
『 拝啓、残間結章様
初春の候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
さて、このたび私が筆を執った理由は、在学中貴方にどうしても伝えられなかった言葉をせめて手紙で伝えようと考えたためです。
私は貴方の拳を受けて気を失った後、目が覚めた時にこう思いました。
一方的に力を振るわれるのはあんなにも怖い事なのか、と。
そのことに気付いてからというものの、私は今まで好き勝手に行動していた自分自身が怖くなり、震えから部屋を出る事さえ苦しく感じるほどに心が弱ってしまいました。
家族や友達の声で何とか立ち直れた私でしたが、自分の弱さと向き合うにはまだ勇気が足りなくて、貴方から逃げるという愚行を繰り返してしまいました。
そんな折、貴方のご友人でもある織斑君に偶然出会い、その際にこう言われたのです。
他人に誇れる自分になれば、貴方とも向き合えるはずだ、と。
私はその言葉に深い感銘を受けるとともに、貴方に誇れる自分とは何かを考えました。
そしてつい最近、私は「夢」が、他人に誇れる自分の像がおぼろげながら見えてきました。それは、一方的に力を振るう自分のような存在を止める警察官になるということです。
何をいまさら調子のいいことを、とお思いになるかもしれませんが、私は昔の自分のような人間を止めたいという自分の思いに気付いたからこそ、この道を目指したいと思ったのです。
まだスタートラインに立ったばかりで第一歩を踏み出したにすぎませんが、貴方に誇れる自分に一歩近づいたことをどうしても伝えたくてこのような手紙を送りました。
いずれ貴方にとあっても恥ずかしくない自分になった時は、今度こそ逃げずに貴方と直接会って話をしたいと考えています。それまでどうか、私の事を心の隅に置いておいてもらえれば幸いです。
貴方様の今年一年のご多幸をお祈りいたしております。
敬具 』
人はいつでも間違いを犯す。ユウは道を見失い暴力を振るい、彼女は自身の力に奢り瞳を濁らせた。それでも、そんな二人でも今はこうして昔の自分と向き合うことが出来ている。
ユウはまた一つ、『人間やってできないことはない』という持論に確証を得た。
そして―――
『追伸 もしあなたが道を間違えるようなら、その時は私が責任を持って豚箱に放り込ませていただきます。』
「・・・・・・・・・あ、あははははは」
「先輩を逮捕・・・ごくり」
「いやなんでそこで生唾を呑みこむ?」
「良かったな、美人の先輩が逮捕してくれるってよ!」
―――やっぱり自分は未だに恨まれているのではないだろうかという疑念も、また一つ深めた。
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ