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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
番外編 「自慢できない武ユウ伝?」
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っと彼女の奴隷に成り下がるか、不良と権力で身も心もボロ雑巾のようにされて立ち直れなくなるかの2択である。
だからこそ―――
「・・・うるさいなぁ、近寄るなよ」
「・・・・・・・・・へぇ?」
(あっちゃー・・・)
そのあからさまに不機嫌そうな声を発したユウを見た御手洗は頭を抱えたくなった。こいつ、ひょっとして相手が誰だか分かっていないのでは?
お嬢は非常に機嫌屋であり、気に食わないことがあるとすぐさま暴力に訴える。以前、彼女の機嫌を損なった女子生徒が警棒で顔面を滅多打ちにするという事件があったほどだ。
そして男の言葉は思いっきりお嬢の機嫌を損ねていた。
鼎が懐から悪趣味なピンク色の警棒を取り出す。スタンガン機能付きの特注品らしいそれは、護身用の名の下に罪もない人を殴りつけてきた彼女の武器だった。
それ以上反応を示さず、眠るように顔を伏せたユウの後頭部に、鼎は躊躇なく警棒を振り下ろした。彼女の持つ警棒は先端がしなり、どちらかというとムチに近いものだ。そしてムチというのは使い慣れた人が使えば先端の速度は音速を超えて衝撃波を発生させる。それが生み出す痛みたるや、喰らった日には何故ムチが拷問の道具筆頭なのかを体で理解することになるだろう。
ッパシィィィィン!!
痛々しい音が教室中に響き、室内の面々が息を呑む。その瞬間、御手洗は信じられないものを見た。
ごっ、と骨と骨のぶつかる鈍い音が教室に響く。
警棒を頭部に叩き込まれたユウが凄まじい速度で立ち上がり、学園の誰もが手を出せなかった鼎の顔面を全力で殴り飛ばしたのである。
殴った位置は鼻に近い顔の中心部。細身に見えるその体から繰り出されたパンチはそのまま鼎を数メートル吹き飛ばし後ろの机をなぎ倒した。相手が鼎であることも女性であることも先輩であることも、その一切の事情を省いた本気の一撃だった。
「近寄るなって言ったよねぇ・・・人の言葉も分からないほど馬鹿なのかな、君は!?」
その時のユウの顔ときたら阿修羅も躊躇うほどに怒っていた。
皆は知らなかったが、その日のユウは寝不足で、朝練中にしつこく一夏に付き纏われ、朝に兄にしつこく話しかけられ、登校途中に馬鹿な男子が道を塞いでおり、教師に授業中しつこく当てられてとこの上なくイライラしていた。鼎は自ら虎の尾を踏んでしまっていたのである。
「・・・う、うう・・・こ、こんなことして・・・カハッ!?」
殴られたダメージと机に叩きつけられたダメージに呻きながらも立ち上がろうとした鼎の顔面を、ユウは何のためらいもなくもう一発殴り飛ばした。余程後頭部に喰らったムチが痛かったのだろう、普段なら一発で済ませるものをもう一発叩き込まれた鼎は完全に意識を刈り取られた。
からん、と固いものが転がり、近くに偶然居合わせた少女
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