暁 〜小説投稿サイト〜
変人だらけの武偵高
5話
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
二年A組の教室のドアが、勢いよく開かれる。
まさにホームルームが始まろうとしたその瞬間だった。担任教師の高天原ゆとりを含め、A組全員の視線が、突如現れたその男、遠山キンジに集まる。
やけに制服は汚れており、目が細められたその表情には疲労が見て取れる。何かトラブルに巻き込まれたのであろうことは、見る者全てが察することが出来た。
がーー彼らの誰一人として気付いていなかった。彼が目を細めていたのは疲労からではなく、獲物を探しているが故ということなど。
「おっ、キンジ! 遅えじゃねえか何があっだぶぉッ?」
間抜けな声を晒したのはスピード狂こと武藤剛気。彼は今、彼が声を発した瞬間に懐まで距離を詰めたキンジによって、顔面にアイアンクローを食らっている。
「てめえ武藤……あんなことがあっておめおめと俺の前に姿を現すとは、余程死にたいらしいなぁ?」
表情はにっこりと笑っているが、それが本心でないことは武藤含め、周囲の全員が理解する。
「よし、屋上に行こうか。ばあちゃんに教えて貰った秋水見せてやるよ」
「ちょちょちょちょっと待てキンジ! そんなとこでお前の技食らったら十中八九屋上からダイブするハメになっちまうぞぉ?」
「安心しろ、気絶させてやるから多分痛みはない」
「そういう問題じゃあねぇーよ? あ、でも屋上から飛び降りればかつてない風を感じることが出来るかもーー」
「はいはい、ストップ二人とも」
変な方向に進み始めた馬鹿二人を仲裁したのは、武偵高トップクラスのイケメンと名高い不知火亮だった。
強襲科Aランク。射撃に近接格闘、その他様々な戦闘スキルをそつ無くこなす器用さから、教師陣からの信用も厚い優秀な強襲武偵だ。
キンジは強襲科時代、大抵この武藤と不知火か、狙撃科のレキと組んでいた。特にレキとのSランクコンビは評価が高く、二人が二年次にタッグを組むだろうことは確実視されていた。そして、彼らは将来的に非常に優秀なタッグになるだろうことも。
(ま、その結末が俺の探偵科移籍だからな。あん時は色んな先生に止められたっけ)
有望な生徒の芽を潰すことは、教師としても一人の武偵としても避けたかったのだろう。が、キンジはどうしても強襲科に留まる気はなかったため。また、一部の話が分かる教師陣(蘭豹もそうだった。意外ではあったが、放任主義と考えればあながち考えられなくはない)のありがたい、本当にありがたい助力もあって、一時期武偵高中を騒がせた「気狂いキンジ転科事件」はあっさりとその幕を閉じた。
ーーとまあ、色々あって探偵科に転科はしたものの、未だ彼らとの交流は続いている。この二人は気のおけない親友ともいえる友人だった。
「遠山クン。何があったか知らないけど、取り敢えず後にして、今は遅刻について謝った方がいいと思うよ」
不知火に言われ、ようやく自分の状況を
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ