暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
第百三十八話 嘘も方便
[1/5]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
帝国暦484年5月7日

■オーディン ブランシュヴァイク公爵邸  オットー・フォン・ブラウンシュヴァイク

「公爵様、まことしやかに流れている話ですが、皇帝陛下が農奴解放を目指しているというのは本当でしょうか?」
又ぞろ、五月蠅い口先だけの阿呆貴族が儂に陛下の真意を問えとやって来た。全く今我が家は先だっての皇太子殿下死去に伴う皇位継承順位の事でも大変な時であるのにお構いなしだ。

「しかも、叛徒共の間に流れている噂では、我ら門閥貴族が諸悪の権化と宣伝されていると聞きましたが」
「そうよ、その様な事、皇帝陛下と言えども許せぬ事だ!」
「我ら貴族がどれ程、帝国に貢献してきたか陛下はお分かりに成っていない!」

何を言うのやら、卿等が帝国にしたことと言えば、貴族専門金融機関から無利子無担保無期限で借りた金を湯水の如く使って、贅沢をしてきただけでは無いか。盗っ人猛々しいとは卿等のような人物を言うのかも知れんな、それに不敬罪並みの事まで言っているし、話を聞いているだけで、いい加減苛ついてくる。

「で卿等は儂に何をせよと言うのだ」
「公爵様のお力で是非、陛下のご真意をお聞き下さりたいのです」
「公爵様なら、陛下の説得も可能でしょう」

「しかし、卿等の言って居ることは全て又聞きか、噂でしか有るまい。その様な事を態々聞くことも無いと思うが」
「公爵様、既に内務省が分割されルドルフ大帝がお作りに成られた、社会秩序維持局が消え去る今日この頃ですぞ、噂が本当になるかも知れないのです。是非ともお願い致します」

「陛下が我らルドルフ大帝以来の門閥貴族を無視し無茶を為さるなら、エリザベート様に女帝として即位して頂くことも考えねば成りませんぞ」

何を言うか、それでは陛下を廃せよと言う事ではないか、一つ間違えば謀反と成るのだぞ。只でさえリッテンハイム侯がテレーゼ殿下の暗殺未遂に係わったとして謹慎させられているのだ、今の時期にその話題自体が危険すぎる。時と場所を考えない、このボンクラ共め!

「卿等の言う事は判った。明日にでも謁見し陛下にお尋ね致そう」
此でどうだ。少しは大人しくなるであろう。
「おお、流石は公爵様、我らの願いをお聞きどけくださりありがたい」
「宜しくお願い致します」

ふうう、やっと帰ったか。ここの所、全く厄介事ばかりがやってくる。
ホッとしているとアンスバッハがワインを持って来た。

「公爵様、お疲れ様で御座います」
「アンスバッハ、全く碌でもない連中ばかりがやってくる」
「それだけ、皇帝陛下の御変わり様が気になるので御座いましょう」

「そうだな。陛下自身のお気持ちがどうあるかは聞いておいて損はないか」
「陛下とて全ての貴族を敵におまわしにする事は無いと思います」
「そうだな、あくまで
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ