審判者
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の方法も、それを私が感じ取れなかった理由も全て…秋晴、これを…』
そう言って大母神が出したのは…。
「…竹簡ですか?」
「はい」
大母神の所謂東方かぶれは今に始まったことではないが、光まで徹底されると苦笑するしかない。
シリアスな空気を少しでも柔らかくする大母神なりの気使い方かもしれないが…どうだろうか?
それはそれとして、竹簡を受け取った秋晴はそれを開いて目を通し…。
「……」
…動きを止めた。
その眼は竹簡に書かれた文字を何度もなぞり、読み違えでも勘違いでもない事を確認する。
「…イレイザー?」
思わず口に出しながら、秋晴は全てを理解した。
大母神が秋晴の責任ではないといった意味…竹簡を見せる時に迷った理由…何故神でもないのに異なる世界を行き来出来る人間がいるのか……全ての疑問が納得と共にあるべき場所に収まるが、それでも信じる事が出来ずに何度も何度も読み返す。
まるで飽きるという事を忘れたかのように…。
「秋晴?」
「はい?」
呼ばれ、ようやく竹簡から顔を上げれば寂しげな顔で見下ろして来る大母神と目があった。
「この一件の処分、その全権を貴方に一任します」
「それは…どういう意味ですか?」
元々、秋晴はオリ主を裁く事を一任されていた。
今更どうこう言われることではないはずだ。
「言ったとおりです。…貴方が思い、実行した全てを私は是とします。例えそれが魂の消滅であろうと、私が認めます」
これには秋晴も目を剥いた。
罪人は罰しなければならない。
それには大母神も理解しているし納得している。
だが魂の消滅となると…これは神の目から見ても完全な死だ。
母が子の死を望むに等しい。
「大母神様?」
「秋晴、何度でも言います。途中経過も解決も…“その後の事”も…」
語りながら…大母神が右手を秋晴の前に差し出した。
秋晴よりも一回り以上大きな手は、何かを握っているのか握られている。
「…たとえそれがどんな結果になったとしても、私は貴方の選択を尊重します」
「……」
「だから、全てをやり終えたならもう一度、必ずまたこの場に帰って来なさい」
開かれた五指、その先に在ったのは太陽にも似た輝きを放つものだった。
秋晴はそれを見て、眩しさとは違う理由から目を細めた。
持古中が連れて行かれた世界が判明する…わずか三時間前の話だ。
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