審判者
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二の人生であるウインドとしての人生は“完璧”でなければならなかった。
原作知識と言う攻略本をフルに活用して、約束された栄光と名声に満たされて生きる…はずだった。
しかしもはやそれはかなわない。
もうすでにヒーローはヒロインを救出してしまっただろう…原作の流れ通りに…如何に使徒の能力を持っていても過ぎ去った時間を戻す事は出来ない。
予定調和の人生を狂わせた事は十分“復讐”の理由になる…たとえ他人がどう思い、何を言おうと中の中ではそれが真実だ。
どの道、秋晴はまた中の前に現れるだろう。
これ以上人生を狂わせられる前に、ここできっちり秋晴を潰しておかなければ安心して第二の人生を“楽しめない”のだから…。
「……」
「よっし分かった!!俺も今日からあんた達の仲間だ!!」
無言で微笑むハイポの態度をYesと取った中が大声で宣言すれば、ハイポの笑みが濃くなった。
「お前らもそのつもりで助けて声をかけて来たんだろう?」
「ありていに言えばそうですね、我々は貴方の協力を必要としています」
「決まりだな!!」
予想通りで理想的なハイポの答えに、中はにやりと笑った。
「これだけ上等くれやがったたんだ。あの秋晴って野郎には目に物見せてやらなきゃ気がすまねえ、あんた達の協力があればあの野郎をぶっ倒す事も出来るだろ?俺の世界に帰るのはその後だ!!」
「持古中さん…」
ハイポは右手を口元に当てた。
中の言葉に感極まったようにも見えるが…その手の下の唇がどのように歪んでいるかは誰にも見えない。
その背後、顔を見合わせた衛と美衣は笑いあいながら…肩をすくめた。
明らかに含みのある態度ではあるが、自分の理想と言うか妄想の未来を想像している中は自分の世界に陶酔していて気がついていない。
「あははは〜♪」
唯一、柄瀬だけは何が楽しいのか、それとも場の空気に流されているのか声を上げて笑っている。
子供特有の無邪気な笑いが部屋に反響していた。
「そういえばさ」
「はい、何ですか?」
「“俺達”は何って言う名前の集団なんだ?」
「俺達…?」
ハイポは一瞬首をかしげ、中の言いたい事に気が付くと満面の笑みを浮かべた。
「“私達”は自分の事をこう名乗っています。…」
―――――――――――――――――
「ジャッジメント…?」
ぼそりと呟いた秋晴の声には、疑惑や疑いを隠す努力が微塵も感じられない。
秋晴の思いが100%声に出ていた。
名前からして、ひょっとして自分は喧嘩を売られているのだろうかと思わなくもない。
「はい、どうやら彼等は自分達の事をそう名乗っているようですね…」
そんな秋晴の視線の先、いつもの大母神の間で、主である大母神本人
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