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東方守勢録
第九話
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「知ってる。早く逃げれば? ここももうじき壊れるから」


男がそう言った瞬間、大きな爆発音が何度も響き渡る。そのたびに所々から火が燃え上がり爆風が生まれていた。


「……」


紫は再度男を睨みつけた後、脱力したままの妖夢を抱えたままスキマを作り中に入っていた。

















広場に残されたクルトは、一人思い出にふけっていた。


「まさか……軍隊なんかに属して最後を迎えるとは……昔と大違いだな」


そう呟くと、クルトはポケットからある物を取り出す。


「このお守りの役目も……もう終りだな」


ところどころが汚れてしまっているお守りを見ながら、クルトは少し笑みを浮かべていた。


「さて……あなたの言うとおり組織と一員としての人生……経験してみましたよ。なかなかおもしろかったな……ぜんぶあんたのおかげってことか。」


天井を見ながらクルトはそう呟く。なにか深い思い出を蘇らせながら……

















「ありがとうな……慧音先生」










そう言った男の頭上には、大きながれきが迫っていた。
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