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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第四十六話  決戦(その五)
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だ。ここで陣を崩して大丈夫なのかと騒いだが、ビュコックに後ろを突かれればそれで終わりだと言うと黙りこんだ。まあこの段階で陣を離れるのは不本意だろうな。何と言ってもヤン・ウェンリーと戦っているのだ。このまま勝てばその武勲は最大と言って良い。だがビュコックを放置すれば負けるのは明らかだ。不承不承だが指示に従った。

ブラウヒッチが離脱するのを見るとヤン艦隊が勢い込んで突っ込んできた。突破できれば勝利を得られる、そう思っているのだろう。メルカッツが艦隊を後退させつつブラウヒッチの抜けた穴を塞ごうとする。それを許さぬとばかりにヤン艦隊が攻撃を仕掛けてきた。

「全艦、敵先頭部分を狙え、撃て!」
取り敢えず先頭を叩く! 俺の指示で艦隊がヤン艦隊の先頭部分に砲火を集中した。しかしヤン艦隊は叩いても怯まずに迫ってくる、一体誰だ? アッテンボローか? それともフィッシャーか? 全く厄介な……。続けて攻撃する事を命じた。

ブラウヒッチを引っこ抜いたところでビュコックの動きが止まった。元の位置に戻ろうとしている。なるほど、ビュコックは全体を統括するのが仕事だ、これまでの動きはこちらを動かす為の陽動という事か……。ブラウヒッチから連絡が入った。

『どうしますか、攻めるのか、戻るのか、指示を頂きたい』
さてどうする、攻めかからせるか? 戻らせるか? ビュコックにぶつけるという手も有るが厄介な事は戦術指揮能力では向こうの方が若干上だと思える事だ。万一負けたらとんでもない事になる。

しかし戻すのも混乱するし、戻した後またビュコックにかき回されてはかなわない。むしろこちらの予備として温存すべきだ。その方がビュコックに対する牽制にもなるだろう。

「その場にて待機してください。同盟軍の予備が動いた時対応してもらいます」
『……了解しました』
ブラウヒッチは戦闘に参加したいのだろうな。自分自身でおこなった準備を忘れて無闇に突進すると評価されてる男だ。しかしここは我慢だ、我慢してもらう。

ヤン艦隊が益々攻撃を強めてきた。爆発する閃光がスクリーンの彼方此方に映る。予定通りだ、予定通り、慌てる事じゃない。ヤンはかなり深く攻め込んできた。ここからの退却は簡単じゃないだろう、逃げたくても俺が逃がさない。あとは味方の来援を待つだけだな。頼むから早く来てくれよ、俺が生きているうちに……。



帝国暦 490年  5月  4日   ガンダルヴァ星系   ブリュンヒルト   コンラート・フォン・モーデル



状況は良くない、いや正確には想定通り良くないと言うべきなのかな。ヤン艦隊は僕達の艦隊の奥深くまで攻め込んでいる。さっきブラウヒッチ提督の艦隊を外しちゃったからね、それに付け込まれた。もっともこっちもそれを利用してヤン艦隊を引き摺りこんだのだか
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