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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第四十六話  決戦(その五)
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長。同盟軍に自分達の攻撃が上手く行っていると思わせるんです。その方が同盟軍を引き摺り込みやすい」
「……」
まだ納得してないな、しょうがない、俺が戦争の奥義を教えてやる。
「戦争というのは騙し合いなんです。上手に騙した方が勝つ。もっともヤン・ウェンリーを騙すのは命懸けですが……」

ホント、命懸けだよ。そうじゃなきゃこんなところで総司令官の代役なんてやってない。こういう人を騙すのはヤンの方が上手いんだけどな。ラインハルトはその辺はあまり上手くないと思う。奴がヤンに一歩譲るのはそれが原因かな? そのヤンを相手に騙し合いをする、出来るだけ自然に行かないと……。いずれ気付くだろうが気付いた時には後戻りできない、そういう風にしないといかん……。



「反乱軍の予備部隊が動き始めました!」
オペレータの声が上がった。同盟軍が仕掛けてきたのは戦闘再開から十四時間を過ぎた時だった。同盟軍の後方に有った予備部隊、おそらくビュコックの直率部隊だろうが二千隻程の艦隊が動き始めた。パエッタの後方を通ってミュラーの側面、或いは後方に出るつもりだろう。偉いよな、この状況で十二時間も耐えるかよ、ビュコック爺さん本当にしぶとい……。それともしびれを切らせたかな。

「各艦隊から通信! いかに対処すべきか、指示を願う!」
感心してもいられんか、あの艦隊が後方に出れば厄介な事になる。なるほど、カールセンを動かすよりはビュコックの直率部隊を動かした方が安全で効果が有ると考えたようだな……。こっちは予備が無い状態だ、そこを突いて来た。さて、どうするか……。例え二千隻でもビュコックが指揮しているとなれば油断は出来ない。

「メルカッツ参謀長、こちらから兵を出して対処しようと思いますが?」
「こちらからですか?」
ザワッとした。驚いているな、メルカッツだけじゃない参謀達皆が驚いている。
「利用しようと言うのですな」
頷く、その通りだ、これを利用してヤンを引き摺り込む。

俺の考えが分かっている所為だろう、参謀達は無言で俺とメルカッツを見ている。今度はメルカッツがゆっくりと頷いた。
「……分かりました、ブラウヒッチ提督を出しましょう」
皆が息を呑んだ。ブラウヒッチは本体の右脇に居る。一つ間違えば突破されるだろう。勝負どころだとメルカッツも見ている。

「……ブラウヒッチ、ルッツ、ワーレン、ミュラー提督には私が指示を出します。艦隊の再編は参謀長が、迎撃は私が指示を、再編終了次第参謀長も迎撃を指示してください」
「了解しました」
俺とメルカッツがオペレータに指示を出してゆく。ルッツ、ワーレン、ミュラーは眉を顰めたが何も言わなかった。連中も俺がこれを利用しようとしていると分かったのだろう。俺が皆に後退するように指示を出す。

ブラウヒッチは多少騒い
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