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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
その身に騎士を宿せし少年の御話・V
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、次々に繰り出される連撃はまるで暴風。体格で勝るはずの恭也が苦悶の表情を浮かべながら猛攻を防いでいる。その顔に余裕は全く見られない。


(クロエ君、君は本当に人間なのか!?)

そう思うのも無理はないほどに、クロエの攻撃は重かった。外見から予想できる筋力の10倍以上はあろうかという力が、しかも達人級の槍術に乗せて繰り出される。
こちらから攻撃しないというルールを今更破る気はないが、果たして破ったところで彼の猛攻の隙を自分が突けるかという根本的な部分さえ疑わしく思えてくる。それほどにクロエの攻撃は鋭くて容赦がなかった。御神流を継ぎ、彼より年上である自分が防戦一方などと、本当に笑えない。


だが、この状況に苦戦する一方で、恭也の頭の冷静な部分は絶えずクロエを観察し続けていた。
あの体格からこれだけの威力ある攻撃を繰り出すのはいくら達人級の腕前があろうと生物学的に無理がある。
ならば考えられる可能性は二つ。

一つは変異性遺伝子障害と呼ばれる難病の中でも20分の1ほどの割合で生まれるという超能力者―――高機能性遺伝子障害者、略称HGS。もしそうなら超能力の一つである”念動力”若しくは別の異能で身体能力を底上げしているという仮説が成り立つ。だがこの仮説には穴がある。HGS能力者はその能力を行使した時に『フィン』と呼ばれる光の翼が現れる。そして彼にはそれが現れていない。よってこの仮説は成り立たない。

ならばもう一つの可能性だ。それは、彼の筋肉の”質”が人間のそれとは違う可能性。質が違えば発揮するポテンシャルも変わってくる。”質”が違えば―――そう、例えば”夜の一族”のような存在ならばあり得る。あり得てしまう。

(もしそうなら・・・彼が捨てられた理由は・・・迫害?)

彼に力がありすぎたから。若しくは親もろとも受けたのかもしれない。それこそ記憶を無くしてしまうほどの辛さを、醜い人間の姿を忘れるために。悲しいが、人間にはそういう自分と違う存在を唾棄しようとする側面がある。
その仮説に行きついた恭也は、ほんの一瞬だけ思考に気を取られてしまった。それが、勝負の分かれ目になった。

「・・・ふっ!!」
「くっ!?」

ボッ!と一際鋭い突きを、反応が遅れたせいで捌き損ねて頬に掠った。
防ぎきれなかった。これで一撃―――クロエの勝ちだ。クロエは棒を突きだしたままの体制で止まっている。


「・・・やられちゃったね。俺の負けだよ」
「・・・恭也さん」

武芸者の一人としては悔しい思いがあるが、そもそもこれはクロエの事を確かめるためのもの。それに自分が決めたルールは自分で守るのが筋というものだろう。素直に負けを見つめる恭也に対し、クロエは何かを言いたげに棒を下げる。

「どうかしたかい?」
「その・・・すみま
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