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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
その身に騎士を宿せし少年の御話・V
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の騎士の”実戦経験”の事に。





〜side 恭也〜

クロエが棒を振り回しているのを見て、俺は正直ちょっとホッとした。
初めて彼が家に来たとき、彼の目は何も映っていないかのように何所までも深く透き通っていた。感情の起伏が全く読み取れない、まるで人形のような瞳。だからこそ、練習用の棒を興味深げに振り回すその姿は年相応に幼く見え、微笑ましかった。
だが、俺は直ぐに浮かべた笑顔を凍りつかせた。

クロエの構えが、足運びが、突きのキレが、一つ一つのアクション全てが明らかに素人のそれではない。いや、むしろ何十年も鍛錬を積んだ達人のそれと言っても過言ではない動きだった。

(・・・あれは棒術ではない・・・薙刀、とも違うな。西洋の槍術か?)

目を細めてその動きをよく観察する。実力のほどは戦ってみなければ分からないが、少なくとも素人でない事だけはハッキリ感じ取れた。そして、その動きを見た俺は、クロエの実力を確かめたくなった。これだけの動きを見せる槍術の使い手ともなるとその辺りにそういるものではない。彼の実力と槍術の特徴が分かれば彼の親を探す手掛かりになるかもしれない。
何より武人として、この目の前の子どもにどれだけのポテンシャルがあるのかを確かめたかった。

「なぁ、クロエ君。ちょっとチャンバラごっこでもしてみないか?大丈夫、軽い遊びみたいなものだよ」
「―――・・・分かりました」

返答に迷いのようなものは見られない。
無論子ども相手に本格的な稽古など付けはしないが、彼の実力次第では少々本気で受け止めなければいけないかもしれない。

「使うのはその棒でいいかい?」
「・・・はい」
「ルールは簡単、今から5分以内君が俺に一撃を加えることが出来れば君の勝ち。逆に当てられなければ俺の勝ちだ。体格差もあるし、怪我をさせちゃうと大変だから俺からは攻撃しない。だから君も体に不調を感じたらすぐに言う事、いいね?」
「分かりました」
「では・・・始め!」



瞬間、クロエから凄まじい闘志が噴出した。

「・・・ッッ!!!」
「行きます」


全盛期の自分の父に勝るとも劣らない威圧感。


その時、俺は確かに彼の後ろに佇む青髪の騎士を幻視した。


そして、全身全霊をかけた”ごっこ遊び”が始まる。







道場に踊る二つの影。一つは激しく動き回り、もう一つはその影の攻撃を防いでいる。


動き回る影の正体は、昨日この家に来たばかり男の子、クロエ。
そのクロエが、練習用の棒で恭也を果敢に攻めていた。

その攻めを一言で表すならば、熾烈の一言に尽きる。

たっぷり遠心力を持たせた棒による横凪ぎや突きは床が抜けるほど深い踏込によってその威力がさらに増大され
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