預かった子供
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を作った。
その夜、赤ん坊は起きた後も泣き続け、二人は初めての子育てに慌てつつも、近くの子供を育てた経験のある人に助言を貰いながら、何とかできていた。
泣き疲れたのか、赤ん坊は布団の中で眠っている。
「この子の真名、縁って名前らしいよ。」
栄進が作ったご飯を食べながら、唯は言う。
赤ん坊の世話が大変だったが、ようやく落ち着き夜ご飯を食べているのだ。
「縁か、いい真名だ。」
「ねぇ、栄進。
これから、この世はどうなると思う?」
唯は最近、治安の悪さや飢えの苦しみなど乱れきった世の中について栄進に聞く。
栄進は箸を置き、真剣な表情を浮かべる。
「正直、今の王ではこの乱世を治める事はできないだろうな。
近い将来、王は失脚してさらに世の中は荒れる筈だ。」
「私達、ここの来て良かったのかな?」
唯は自分達二人が国を出て行った事に疑問を抱いているようだ。
もし、自分達が国を捨てずに必死に頑張ればここまで乱れきった世の中にならかったのでは、と。
「国を出て行ったかどうかが正解かは分からない。
だが、そのおかげで私はお前と愛し合う事ができて、子供も授かる事ができた。
この村だってそうだ。
私達が来た時は賊に困っていたが、お前のおかげで少しは平和になった。
国に残っていれば、この村とその赤子は救う事はできなかった。
小さなことだが、それでも私はこれで良かったと思うぞ。」
栄進の言葉に唯は少し顔を赤くしながら、ありがとう、という。
その時、赤ん坊が起きだしたのか泣き声をあげる。
二人は見つめ合うと、小さく笑いあう。
「どうやら、ご飯はもう少し後になりそうだな。」
「ついでに今夜は寝れそうにないわね。」
二人は笑い合うと、泣き声を上げる赤ん坊に近づいて、泣き止むようにあやすのだった。
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