第10話 魔人たちは先に進むようです
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といった顔になる。
「に、兄さま?い、今、なんて……?」
エヴァは震えながら俺に聞いてくる。
「エヴァとはこれから別れて旅をする、と言ったんだ。」
「そ、んな、なんでだ……?なんで、そんな事を言うんだ?兄さま?
わ、私を…嫌いに、なったのか?」
「……シュウ、理由を話してちょうだい。でないと納得できないわ。」
エヴァは泣きそうになっているが、ノワールは冷静だ。
俺の考えてる事が分かるんだろうな。
「勿論だ。…エヴァ、お前は強くなった。俺の誇りだ。
だけど、お前には経験が足りないんだ。」
「……え…………?」
そう。このエヴァには、『一人で戦った』経験が足りない、いや、無い。
俺がずっと育て、ずっと鍛え、ずっと守って来た。来てしまった。
エヴァが持つのは吸血鬼の力と、膨大な闇の魔力、ただそれだけ。
エヴァに才能は無い。原作でフェイトと互角に戦えていたのは、
一重に辛い過去に裏打ちされた経験があったからだ。
しかし、それを俺が奪ってしまっていた。
修業で非情になれず、死に迫らせる事が出来なかった。
抱くはずだった、あらゆる憎しみを無くしてしまった。
俺が殺しすぎたせいで、他人の死に罪を感じなくなった。
危険な相手は俺が瞬殺し、本当に危険な状況に置かなかった。
そのせいで、自分の命の危機に触れられなかった。
「お前の力は、上級神官に匹敵、いや、それ以上だ。
しかし、その程度では困るんだ。お前は、大神官に勝てない。
その程度では、俺に着いて来れない。」
俺は、アークからもう一つだけ情報を得ていた。
それは、『ナギ・フェイトT・大神官・エヴァの戦闘力』だ。
結果は、『ナギ>=フェイトT>>>大神官>>エヴァ』。
原作では少なくとも『フェイト=エヴァ』であったのに、
今のエヴァは俺のせいで、こんなにも弱い。
原作まであと350年。エヴァに経験を積んで貰う為に――――
「だからエヴァ、お前とはここで一旦お別れだ。」
俺の思いは伝えた。後は、エヴァを説得するだけ。これが一番難問なんだがな。
「………分かった。兄さま達とはここで別れよう。」
…難問、だと思って、必死に考えていた理論は、一瞬で必要無くなった。
「分かっていたよ。気付いていないとでも思ったか?
私は兄さまに守られて、自分の身を守れていない事くらい。
兄さまといたら、兄さまは私を完璧に守ってくれるが、
だが、私はそんなのまっぴら御免だ!!私の目標は、兄さまだ!!
何時までも一緒に居ては駄目なんだ!だから、兄さま、姉さま…
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