第72話
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「なっ!?・・・麻生、一体何を!!」
制理は驚くのも無理はない。
いきなり、こんな事をされて驚かない方がおかしい。
「馬鹿だな、お前。」
「え?」
「俺の事なんてほっといて大覇星祭を楽しべいいのに。
お前が楽しなくて誰が楽しむんだ。
自分を楽します事が出来ないのに他人を楽します事なんてできない。
俺はお前にこの大覇星祭を楽しんでほしい。
お前達、運営委員が必死なって考えたて作った祭りなんだからな。」
額を合わせながら麻生は少しだけ笑みを浮かべて言う。
自分の言いたい事を言い終えて離れる。
「此処から一番近い所はどこだ?」
また唐突に聞かれてしまい、制理は少しだけ唖然とするが答える。
「え、えっと・・・三年男子のトライアスロン。」
さっきの麻生の行動を思い出したのか、顔が少し赤くなっている。
だが、麻生がそんな事に気づく訳がなかった。
「まずはそこに向かうか。
今からでも応援くらいはできるだろ。」
さっきとは逆で麻生が制理の手を掴んで歩き出す。
「それでどの道を歩けばいいんだ?」
麻生の問いかけに制理が答えようとして前を見た時だった。
「麻生!前を見なさい!」
「え?」
制理に言われて前を向くと、ドン、と誰かと軽くぶるかる
制理に気を取られていたのか前を全く気にしていなかったのだ。
麻生はすぐに顔を離して確かめると、それは金髪の女性だった。
「すみません。
怪我はありませんか?」
ぶつかった女性に軽く頭を下げる。
ぶつかったのは、地味な作業服を着た一八歳ぐらいの女性だった。
身長は麻生より少しだけ低い。
色の強い金髪や青い瞳、さらには制理のスタイルが霞んで見えるほど色っぽい。
長い金髪は、ワックスや巻き髪用のアイロンなどで相当手を入れてあるようだ。
全体的に髪を細い束ごとアイロンでクセをつけ、小さな巻き髪をお互いに絡めるように三本の太い束に分けている。
その他にも細かい所に様々な手が入り、一回セットするのが大変そうな髪型だ。
一方、アクセサリーはない。
塗装業の関係者なのか、作業服にはあちこちに乾いたペンキがこびりついている。
脇には真っ白な布で覆われた、長さ一・五メートル、幅七〇センチぐらいの看板を挟んでいる。
さらには作業服のボタンが大きく開いている。
正確には、第二ボタンまで開いているとかではなく、第二ボタン以外、一つもボタンを留めていない。
ズボンもかなり緩そうで、腰の辺りに引っ掛けて穿いている、といった感じだ。
「ああーっと。
ごめんねごめんね。
少し急いでいて。」
大した怪我もしていないのか女性の方は優しく話しかけてくれたが少しだけ後ろを気にしている。
だが
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