第九話 〜元凶〜
[10/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いく。
そんな中で俺は波行く兵士達が横をすり抜けて行く中で馬をゆったりと歩かせた。
ドンドンッ
部屋の戸が忙しなく叩かれた。
いったいなんなのだろうか。
謹慎中の人間に、しかもこんな夜に面会などとは常識の無い者もいたものだ。
それとも、それ程に急な大事なのだろうか?
私は床から寝ぼけた身体を起こして戸を開いた。
『が、凱雲様!』
そしてそこにいたのは豪帯様が昔からお世話になっていた南門近くの宿の宿主だった。
その事から豪帯様関係の事だという事をすぐに悟る。
そしてその悲しげな表情や目の前で息を整えているところから只事では無いことも悟る。
私の寝ぼけた身体から嫌な汗が滲み出てくる。
明日で全て終わるというのに今度はなんだ?
『…宿主、いったい何があった』
私はできるだけ頭を冷やしながら冷静に言葉を並べる。
『凱雲様!お、落ち着いて聞いてくれ』
『わかっておる。なんだ?』
『たい、ご、豪帯様が今日私の宿に来たんですが…その…』
『…』
やはり豪帯様か。
私は無言で次の言葉を待つ。
『例の余所者達に…連れさられた』
『…なん…だと?』
意味がわからなかった。
余所者達というのは大体予想できる。
だが、あの餓鬼共が今更豪帯様を連れさる理由がどこにある?
しかも、いったいどこへ?
『ど、どういうことだ!?いったいどこへ連れさられた!』
『が、凱雲様落ち着いて!』
理由がわからない今、豪帯様がどんな危険な目にあっているのか想像できない分焦りが募る。
私は宿主の肩を揺らし、返答を促した。
『わ、私にもわからないですが兵隊を連れて外の方へ…』
『外とはなんだ!?北門から出て行ったのか!?』
『い、いや…』
『なら外とはなんだ!?』
北門では無いならいったい兵士を引き連れて何処へ行けるというのか。
豪帯様を人質に州都へ赴くならまだ理由は色々想像できた。
だが、宿主の言う外というのがそれで無いと聞いて尚更想像ができなくなる。
いったい宿主が言う外とはなんなのか。
…頼むから大事で無いでくれ。
『み、南門から…』
『…み、南門?』
一瞬わけがわからなくなる。
何故南門なんだ?
何故そこに豪帯様が必要になる?
いったい奴らの目的は…。
"蕃族"
『』
頭にその名が過り、身体中の体温が消し飛ぶ。
自分が思いついてしまった可能性に絶句した。
もし仮にもこの予想が当たる事があっては豪帯様だけでは済まない。
それこそここら一帯を巻き込む一大事だ。
私は自分の予想を必死に否定した。
『そ、そういえば確か余所者の一人の大男が口々に"夜襲だ!"だの"急
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ