第九話 〜元凶〜
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!?』
何だこの人。
わざとやってるのか?
だが、今の反応で想像は確信に変わった。
…まさかあの村だけでは飽き足らずに蕃族を襲おうとするなんて。
洋班という男はとことん想像の遥か上を行く人間だという事を再認識させられた。
『…まさか、僕にばれてまで出陣されようとは思いませんよね?』
『グギギィ…し、知るかそんなもの!これは洋班様直々の命令だ!それに貴様らは逆らうのか!?』
『やましい事だとわかってるからこんなコソコソとした真似をするんでしょ?』
『ウッ…』
よかった。
僕にはこの暴挙を止める事ができる。
あの村は救えなかったが、その犠牲を無駄にする事だけは止める事ができそうだ。
それが罪滅ぼしだとは思わない。
けれど、それでも僕にとってはこの事が支えになった。
あの村の虐殺からしっかりと何かを学べたと。
そして新たに起きそうになっていた虐殺を止める事ができたと。
僕は罪悪感から少し救われた気がした。
『では黄盛さん。兵士達を引き上げて休ませてあげてください。明日からはまた大変な行軍になるのですから』
『し、しかし…』
ザワザワッ
兵士達からは安堵の空気が流れる。
そりゃそうだ。
ここに来てからというもの、休憩という休憩も取らずに今日まで頑張ってきたんだ。
その上でまた戦闘をしなければいけない状況で待ったの声が掛かったのだ。
しかも、黄盛は押せば折れそうだ。
あと少し…。
僕は一息にケリをつける為に息を吸い込んだ。
『もし引いて下さらないのであれば僕は父さんに…ッ!?ゲホッ』
『?』
しまった。
喉が枯れ過ぎてむせてしまう。
しかも思ったよりも喉の渇きはひどかったらしく、今の一言で喉が割れたような痛みを感じる。
僕はその場に座り込んでむせた。
『ゲホッ!ゲホッ!ゴホッ!』
苦しい。
吐き気に近い感覚が喉を襲うが、出てくるのは乾いた空気だけだ。
僕は涙を目に浮かべて咳を続けた。
が、それが奴に思わぬ反撃のスキを与えてしまった。
『こ、こいつを捕らえろ!』
『!?』
黄盛は急にそう叫ぶと僕に目掛けて走り出した。
周りの兵士達も急な命令に唖然としながらも、こちらを追う構えに入り始めていた。
口封じをする為と悟った僕は急いで逃げ出そうとする。
…が。
ドンッ
『え?』
後ろにいたであろう人影にぶつかる。
一瞬状況が理解できなかった。
『おいおい黄盛。これはどうゆうことだ?』
『よ、洋班様!?』
僕はふと顔を上げるとそこには飽きれながら僕を見下げている洋班の顔があった。
マズイッ!?
僕は洋班を押しのけて逃げ出そうとする。
…が。
ガシッ
『
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