暁 〜小説投稿サイト〜
〜烈戦記〜
第九話 〜元凶〜
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僕は何十、何百の人殺しを黙認したんだ。

『…ごめんなさい』

枯れた喉から無気力にそんな言葉をひじりだした。



ガヤガヤッ

早くしろと言っているだろ鈍間共!

ガヤガヤッ
ガヤガヤッ


それにしても外は相変わらず煩いな。
あのデカブツはこんな夜中に兵士達に何を怒鳴り散らしているんだ。

僕は懺悔に懺悔を重ね疲れて、無気力に外の声に耳を傾ける。


ガヤガヤッ
ガヤガヤッ

貴様ら!兵士だろ!
戦前にそんなに無気力でどうするか!

ガヤガヤッ


ん?
戦?
戦とはなんだ?


ガヤガヤッ
ガヤガヤッ

ドンッ!


『…っち』

部屋の外から部屋の壁に向かって何かがぶつかる音がした。
まったく…なんて迷惑な。
これじゃあ僕以外の人達も眠れやしない。

第一南門にこいつらが何の用なんだ。
昼間に賊討伐と言って村を襲ったばかりだろうに。
それに賊退治なら内陸側である北門に集まるべきだろう。
南門なんて城壁を越えた先に蕃族しか…。

『…え?』

一瞬嫌な予感が頭を過る。
そしてそれによって急にぼけていた頭が冴えてくる。

そうだ。
戦ってなんだ?
賊退治が終わった今戦なんて起こるわけがないだろ。
もう目的を終えた奴らは明日の朝には州都に戻るだけなのにどうしてまた戦準備なんか。

しかもその目的の方角は明らかに蕃族を目指している。
それは南門に来ている時点で明確だ。
賊が関より外側にいるのを突き止めたからか?
いや、そんなはずは無い。
関に来てそんな情報は聞かないし、荀山すらあまり知らないような奴らが僕達より先に関より外の情報を掴めるとは思えない。
第一そんな情報があればあの村は犠牲になる必要はなかったんだ。

じゃあ残る目的はなんだ?

蕃族…か?

いや、そんなはずは…。

だが、相手は洋班だ。

もしかしたら…。


僕は枕元にある鉄鞭を手に取り部屋を出た。






『貴様ら!!何度言わせるんだ!!早くせねばバレるだろうが!!急げ!!』

気だるそうに身支度を整える兵士達の中を進んで行くと、そこには夜の静けさ、とは言っても昼よりも静かになった辺りに響き渡る声で仕切りに叫ぶ黄盛がいた。

まぁ黄盛がいるのはわかっていたから驚く事はなかった。
それよりもだ。

『黄盛さん!』
『ん?…ゲェッ!!』

分かりやすいくらい"しまった"と言わんばかりの表情の黄盛を見て想像に現実味が帯びてくる。

『何でお前がここに!?』
『それはこっちの台詞です。貴方達はここで何を?』
『う…うぐぅ…それはだな…』
『蕃族ですか?』
『ギクッ!?な、何故それを
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