第九話 〜元凶〜
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つは本当に頭に何か入ってるのか?
こっちがわざわざ声を小さくしているというのに…。
『し、しかし、良いのですか…?聞いた話しでは蕃族とは確か友好関係を結んでるだとか…』
『なーに気にするな。あんなもの豪統が蕃族に対抗できないもんだから勝手に言ってるだけさ。逆にそれを我々が打ち滅ぼしてみろ?それこそ我々は大手柄だ。それに本当に同盟を組んでるにしても相手は蛮族だ。何を気にする必要がある』
『しかし、豪統はそれを知って黙っているかどうか…』
『はぁー…。お前は本当に考え無い奴だな、黄盛。頭を使え頭を』
『…?』
『何も馬鹿正直に"出陣します"なんて伝える必要なんかねぇんだよ。なんたって俺は州牧の息子なんだぜ?それに俺達には俺達の兵2000がある。つまり…』
『豪統には伏せて蕃族を討ちにいくと?』
『そうだ!中々わかるようになったじゃねえか!』
『ははっ…。では、出陣は何時になさいますか?一応我々は明日の昼には関を出ると…』
『今からだ』
『は?』
『今から蕃族を潰しに行く』
『い、今からですが?』
黄盛が窓の外を見る。
既に日は山に隠れつつあった。
『夜に抜け出すという事ですか?』
『そうだ!それに夜の方が蕃族だって不意を突かれて大混乱!これぞ兵法!これぞ知将の戦い方だ!』
『それはいい作戦にございます!では早速準備をさせます!』
『あ!待て!』
『はい?』
俺は部屋から飛び出そうとする黄盛を呼び止めた。
多分しっかり言って置かないといけない気がするからな。
『いいか?誰にもバレないように慎重にな?』
『わかってございます!この黄盛にお任せを!』
お前だから心配してんだよ阿保。
そして黄盛は部屋を出て行った。
ククッ…。
夜が楽しみだ。
ガヤガヤッ
準備を急げッ!
さっさとせねばばれてしまうぞッ!
ガヤガヤッ
外が異様にうるさい。
こんな日も落ちた時間にいったい南門で黄盛は何をしているのだろうか。
僕は関に帰って来て直ぐに北門とは反対側の南門近くの宿に来ていた。
理由は二つ。
一つは自分の部屋には居たく無かったからだ。
今は本当に心の底から誰とも会いたくない。
それが父さんでも。
…しかし父さんはそんなこっちの気も知らないで慰めに来そうだったから。
『…はぁ』
父さんのいき過ぎた優しさにはたまに凄く嫌な思いをさせられる。
そして二つ目は洋班にできるだけ会わないためだ。
多分北門だと明日の帰り際には必ず洋班が通る。
それに、父さんが用意した洋班の部屋だってどこにあるかは知らないし、無いとは思うがもしかしたら北門周囲の良い宿を借りているかもしれない。
そうなら尚更出歩いている洋班に会いかね
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