第九話 〜元凶〜
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の民には既に手を出してしまったのだ。
もう戦は回避できないだろう。
『…』
本当にどうしようもない事をしでかしてくれた。
蔑すもうとすればする程に怒りの言葉は湧き上がって来るが、今はとにかくこれから重要になるであろう貴重な2000の兵力と豪帯様を回収する為に村へ急いだ。
『洋班様、粗方死体の処理が終わりました』
『…ん』
『仮の陣容も整えましたゆえに、今夜はここで夜営ということで…』
『…ん』
『…では洋班様の天幕へ…』
『待たれい!』
『ん?ゲェッ凱雲!?何故貴様がここに!?』
『…ん?凱雲?』
丁度村の中央では大きな篝火の下で洋班と黄盛がいた。
辺りは今にも夜営をしますと言わんばかりの天幕を張り巡らせていた。
ちらほら見える兵士達はここ連日の酷使によって疲労の様子が隠しきれていないようだ。
…これでは仮に陣を襲われる事があれば守り切るどころか逃げ切るまでにどれだけの被害が出る事やら…。
『洋班様…早急に兵を関までお引き下さいませ』
『あ…?』
『貴様!何を寝ぼけた事をぬかしておる!この夜営の状況が見えんのか!?』
『…ここでの夜営は自殺行為でございます。既に蕃族にはこの村襲撃の報はいっているはずです。ですので陣を捨てて早急に…』
『蕃族相手に陣を捨てて逃げろだと!?ふざけるな!第一こんな時間に兵を出してくるわけが…』
ジャーンジャーンッ
真っ暗な夜空に陣銅鑼の音が響いた。
…予想はしていたが早すぎる。
『な、なんだ!?』
『なんじゃ!?』
『蕃族だ!!さっさと兵を退け!!』
『貴様ら!!』
蕃族領側より少し遠くの小高い丘の上から声がした。
そしてそちらを見れば月明かりに照らされた騎馬武者が単騎で影を見せた。
…まずい。
『だ、誰だ!』
『我が名は形道晃!蕃族の王、刑道雲が第一子なり!貴様らこそ何者だ!?見たところ賊の類ではないな!』
『ふふふ…聞いて驚くな!?我々は…』
ドカッ
『あだっ!?』
『…ん?』
『俺の名は烈州州牧が第二子、洋班!貴様ら蛮族を討ち取りに来た男だ!』
『…何?零の官軍か?』
『そうだ!降伏するなら今のうち…』
『どういう事だ!貴様らと我ら蕃族は同盟関係にあるはずだろ!』
『はぁ!?蛮族風情が調子に乗るなよ!貴様ら蛮族なんぞと我ら高等民族が同盟など組めるか!』
『何!?貴様らぁぁ!』
『待たれよ!!』
『…ん?その声は』
堪らず声を張り上げた。
『凱雲!そこにいるのは凱雲か!?』
『いかにも!』
刑道晃が私に気付いて声をあげる。
『凱雲!これはどういう事だ!?何故同盟を反故にするような真似を!?』
『…』
『答え
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