第九話 〜元凶〜
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雲で最近私に良く逆らうようになった。
いや、そんな事はどうでもいい。
『凱雲、これは命令だ。それにお前は今きんし…』
『では豪統様のお身体に何かあった場合に誰がこの関を纏めるのですか?』
『しかし!私が行かねば洋班様は止められん!』
『誰が行ったところであの方は止められません!』
『ぐっ…』
遠回しに私でも無理だと言われたが、確かにそうだ。
だが、凱雲に任せてはきっと荒業時になるに決まっている。
それはいけない。
それにあそこには帯が…。
そうだとも。
私はただ単に帯がこれ以上私の知らない場所で危険な目に会うのが嫌なのだ。
『下手をすればあの蕃族を相手にしなければいけないのです。その時にもしも豪統様に何かあっては…』
『しかし、今あそこには私の息子が…』
『豪統様!』
『!?』
凱雲が私の肩をがっちりと掴む。
その喧騒に驚き言葉が詰まる。
『豪統様。今度こそ…今度こそは豪帯様をお守りしてみせます。だから…私を信じてください』
『…凱雲』
顔は伏せていて表情は見えないが、掴まれた肩から凱雲の心情がヒシヒシと伝わってきた気がした。
凱雲は先日の帯の怪我に未だに責任を感じていたようだ。
私は私の手で、親として自分の息子を守りたい。
だが、凱雲の言うように私が行っても何にもならない。
そればかりか、私に何かあればあの関は私では無い違う関主を迎える事になる。
…そうなれば、せっかくの民の平和も崩れてしまいかねない。
それは今までついて来てくれた関の人間達への裏切りだ。
私が責任を持って彼を守らなければ。
『凱雲、命令だ』
『…』
『…必ず息子を無事に連れて来い』
『!?』
『それと蕃族との戦は絶対にあってはならない。何としてでも洋班様を止めてこい。いいな?』
『ははっ!!』
凱雲が再び馬へ戻る。
『凱雲!』
『はい』
そんな凱雲に私は呼びかけた。
『…頼んだぞ』
『…お任せあれ』
そして凱雲率いる800の兵は洋班様の後を追って関を出た。
『…遅かったか』
兵を走らせてどのくらいがたったのだろうか。
私の目の先にある村からはこの時刻には不釣り合いな光が当たりを照らしていた。
あの光の正体は兵士達の篝火であろう。
そして兵士達が村で篝火を灯しているとなると、既にあの村は…。
『…』
私はそれについて考える事をやめた。
今は憐れみをしている暇は無い。
もし、仮にあの場で2000の兵だけで陣を構えているのであればそれは自殺行為だ。
一瞬このまま放置して合法的に洋班を排除できないかと思い浮かんだが、不毛だと踏んで諦めた。
仮に洋班が死ぬ事があっても、蕃族
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