暁 〜小説投稿サイト〜
〜烈戦記〜
第九話 〜元凶〜
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げ!"だの叫んでいました!』

だが、宿主の言葉でその予想は確信へと変わる。

『だ、だから多分豪帯様は蕃族のいる方へ…ヒィッ!?』

宿主が何かに驚いて部屋から飛び退いて尻餅をついた。
だが、今の私の意識にはそんな些細な事に割かれる余裕は既に無くなっていた。


『あいつらぁぁぁ!!』
『ひぃぃッ!』


私は尻餅をつく宿主を横目に兵舎へと向かった。






ドンドンッ!

豪統様!豪統様!

ドンドンッ!


『…んむ。なんだこんな夜中に』

私は床の中で目を覚ます。

いったい誰なんだ?
仮にもここの関の責任者の家にこんな時間に訪ねてくるなんて。
声からして官士や兵士では無いようだが。

私は気怠さを押し殺して戸へ向かった。


『あ、豪統さん!大変だ!』
『ん〜…なんだ、南門の所の…』
『そんな事はいいんです!!大変なんです!!』

訪ねて来たのは昔からの付き合いの宿主だった。

宿主の声が耳を劈く。
…まったく勘弁してくれ。

私は寝ぼけた頭を必死に起こそうとする。

『わかったわかった。聞くからまず、声の高さを…』
『豪帯様と凱雲様が!』
『ッ!?』

その名を叫ばれて一気に目が覚めた。
そして目が覚めて気付くが明らかに只事ではない表情をしていた。

『…宿主、あの二人に何かあったのか?』
『豪帯様が余所者達に連れさられました!』
『なんだって!?い、いったいどこへ…』
『蕃族です!』
『は、蕃族だと!?』
『はい!兵士達を引き連れて南門より…あ、豪統様!?』

私は余りの急な事に眩暈がしてさっきまで寝ていた寝床に腰を落とした。

『だ、大丈夫ですか!?』

混乱した頭の中を整理する。
まず、余所者とは十中八九洋班様達の事だろう。
そして、その洋班様達が派兵された兵士達を引き連れて帯共々蕃族に向かって…。

『あぁ…なんという事だ』

どう考えてもいい予想が出せない。
洋班様達はきっと昼の戦果だけでは物足りずに蕃族討伐へ向かったのだろう。

では、いったい荀山の村の民はなんの為に犠牲に…。

私の築き上げた蕃族との友好関係は?

そして何より…。


『蕃族と戦争なんて無謀すぎる…』


今の蕃族相手に戦争なんて"無謀"なのだ。


今現在の国としての蕃族の認識とは、辺境の森の中に住む文明の遅れた少数民族、所謂蛮族と位置づけられているのが実は違う。
彼らは関を越え、森を抜けた先に広大で肥沃な領土を持ち、そこには無数の河川が流れ、文明も彼ら独自の文化と交易路を持つ。
そしてその環境を周りから包み隠すように広い森や深い谷、険しい山々に囲まれていて、我々を含めた外国か
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